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[MOM3040]大手前高松MF滝平昂也(3年)_繋いで判断する攻撃のアクセント。40m超のロングスローで泥臭く決勝アシスト

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MF滝平昂也(3年)の武器は、全国でもトップクラスの飛距離が出るロングスロー

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 選手権予選決勝 香川西0-1大手前高松 ピカスタ]

 ポゼッションで相手を押し込みながら判断よく相手を崩す“華麗なサッカー”が大手前高松高のモットーだが、今年は泥臭くゴールを奪える“飛び道具”も兼ね備えている。それは全国でもトップクラスの飛距離である40m以上を投げるMF滝平昂也(3年)のロングスローだ。

 昨年は初めての決勝に緊張したため、思い通りのプレーができなかったが、今年は「この1年間プリンスリーグなどでつけてきた自信があった。1対1や最後まで走り切る部分を貫き通せた」。スタートのポジションはトップ下だが、与えられた役割はフリーマン。チームのために必要なポジションに走り込むのが滝平のミッションだ。

 序盤は四国学院大香川西高が見せたプレスに苦しんだ守備陣を助けるべく、後方に下がってビルドアップの手助けをした。不安定だったボール回しが落ち着いてからは持ち味の一つであるドリブルを仕掛ける場面も増加。川上暢之監督は、「前半途中から滝平がドリブルを仕掛け始めた辺りから気持ちが落ち着いた」と振り返る。

 貢献はピッチ内だけに留まらない。前半から、高い位置でスローインの機会を得ると強肩を活かして、鋭いロングスローをゴール前に展開。相手DFの脅威となるだけでなく、「タッチラインにボールを切ってしまうとロングスローがあるので、相手はGKへのバックパスを多くして出来るだけ外に出さないようにしていた」(川上監督)と相手の攻撃の制限にもなっていた。

 ただ、前半は相手がタッチラインに逃げる機会が少なく、ロングスローを投げる機会が限られていたため、後半からは意識的に相手にタッチラインを割らせるプレッシングを徹底した。

 すると、後半12分には左サイド高い位置でスローインのチャンスを獲得。「この1週間、セットプレーで点が入るだろうなと思いながら練習してきた」と振り返る滝平は勢いよくロングスローを放り込むと、相手DFに当たってゴールネットに吸い込まれた。「みんながロングスローに対してがめつく行ってくれたから生まれたゴール。練習は裏切らないなと思いました」。

 1点を奪ってからは3列目からのドリブルで相手を引き付けながら、タイミングよく味方にパスを出し、攻撃を牽引。1-0での勝利に大きく貢献した滝平は「昨年からずっと『昨年のことを思い出せ』と言われ続けてやってきた。やっとこの舞台で焦らず、相手を見て判断しながら動けた。自分たちが成し遂げられなかったことを成し遂げられたので、今までになかった嬉しさだった」と喜びを口にした。

 初の全国でもチームが躍動できるかはピッチ内外での貢献度が高い滝平にかかっている、と言っても過言ではない。「香川県でもこれだけできるんだというのを見せつけながら、繋ぎながら相手を見て判断する大手前のサッカーを見せつけたい」と意気込みを口にした。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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