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猛攻の國學院久我山、PKの1点に留まるもJ内定者擁する成立学園を破って決勝へ:東京A

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國學院久我山高が決勝進出

[11.9 選手権予選準決勝 國學院久我山1-0成立学園 味フィ西]

 やはり、強い。流れるようなパスワークからタイミングの良い仕掛けで山のようにチャンスを築き上げた。第98回全国高校サッカー選手権の東京都大会は、9日に味の素フィールド西が丘でAブロック準決勝を行い、第1試合は、國學院久我山高成立学園高を1-0で破り、決勝進出を決めた。16日の決勝戦では、帝京高と対戦する。

 公式記録に残ったシュート数は16対5。関東大会予選やインターハイ予選で東京を制している國學院久我山は、やはり地力がある。試合開始5分、FW戸坂隼人(3年)がワンツーで右サイドを突破し、クロスからMF田中琢人(2年)がシュートを放った最初のチャンスを皮切りに、次々に好機を生み出した。前半14分に左からFW山下貴之(3年)がミドルシュート。17分には、FW山本航生(3年)が右サイドを突破して山下のシュートへとつなげた。

 前半20分にはラッキーな決定機もあった。GK村上健(2年)のロングキックを相手2人が見合った後、ヘディングで後方へ下げたが、前に出てきた相手GKとボールが行き違いになり、山本航が抜け出しに成功。しかし、シュートは枠を捉えられなかった。

 一方、成立学園もビルドアップから押し上げるパスワークと、来季の磐田加入が内定しているFW吉長真優(3年)へのくさびのパスを使って反撃。前半23分、MF戸田岳滉(2年)が右から入れた浮き球のパスをMF宇津木優人(3年)が空中で競り、こぼれ球を拾った吉長がミドルシュートを狙った。好機が多くなく、集中してマークされる中でも、吉長はポストプレーや抜け出しからシュートまで持ち込める力を発揮し、存在感を漂わせた。

 しかし、國學院久我山はアンカーの福井寿俊(3年)が「10番(吉長)が前で収めるプレーが上手いので、攻めていても一発のカウンターがあるし、後ろから出てくる選手も速いので、とにかく早くプレスバックしようと思っていた」と話したとおり、センターバックの跳ね返しと、中盤の素早いケアでピンチを最小限に抑えることに成功した。

 ペースを握った國學院久我山は、なかなか点を奪えなかったが、焦れずに攻め続けた。前半32分、福井が右に振り、戸坂が抜け出して切り返しからシュート。こぼれ球に山本航が反応してオフサイドになったが、惜しいシーンだった。そして34分、中盤で福井が相手の間を通して縦につなぎ、田中がターンで前を向いてスルーパス。左から抜け出した山下が切り返しで相手のファウルを誘ってPKを獲得。これを戸坂がきっちりと決めて先制に成功した。

 後半も國學院久我山が優位に進めたが、この日はゴールが遠かった。成立学園は最少失点に留めながら反撃の機会をうかがった。22分、前線で吉長がボールを奪い返して鋭いシュート。このプレーで得た左CKのこぼれ球をDF横田文洋(3年)が狙ったが、枠を外れた。

 逆に後半28分には國學院久我山が途中出場のFW小松譲治(1年)が左に展開し、山本が強烈なシュートを放つと、小松がこぼれ球に反応したが、成立学園のGK大野来生(3年)が身体を挺して防いだ。終盤まで國學院久我山が押す展開だったが、得点は1点止まり。成立学園はどうにか押し返そうとしたが、得点を奪うには至らず、試合は1-0で決着した。

 國學院久我山は、夏のインターハイで全国大会に出場したが1回戦負け。福井は「あの悔しさを忘れたことはない」と話した。全国トップクラスの実力があることは間違いないが、一発勝負のトーナメントで勝ち続けなければ、多くの人に見てもらうことはできない。

 上手さに勝負強さを加えることをテーマに取り組んできた清水恭孝監督は「前期(関東大会やインターハイ予選で)、かなりうまく行っていたけど、この大会に関しては、そんなのは関係ない。(すごく強くても)選手権だけ取れないチームがあるし、この選手権だけは必ず勝ち上がって来るというチームもある。選手には、その難しさを常に伝えてきた。大舞台でも力を発揮してくれると思います」と気を引き締めた。全国出場まであと一歩。持ち前の攻撃力で勝ち取るのみだ。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2019

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