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秘密兵器が炸裂!東海大高輪台が東京朝鮮下して初の東京ファイナルへ:東京B

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東海大高輪台が初の東京ファイナルへ

[11.10 選手権予選準決勝 東海大高輪台2-0東京朝鮮 味フィ西]

 第98回全国高校サッカー選手権の東京都大会は、10日に味の素フィールド西が丘でBブロック準決勝を行い、第1試合は東海大高輪台高が2-0で東京朝鮮高を破って初の決勝進出を決めた。

 東海大高輪台は、試合の早い段階から伝統のポゼッションでリズムを作りつつ、右のFW横山歩夢(2年)と左のMF足立帆(3年)を走らせるカウンターで敵陣に押し込み、優位性を築いた。バイタルエリアでボールを失っても前線や中盤で奪い返す場面も多く、シュートモーションを見せながらパスをつなぎ、ゴールに迫った。

 対する東京朝鮮は、自陣ゴール前で身体を張ってシュートコースを消して押し返すと、相手を崩し切るには至らないが、ダイナミックなプレーで打開を図った。前半のシュート数は、東海大高輪台が2、東京朝鮮が0。押し込む前者がゴールを奪い切るか、しっかり守れている東京朝鮮がカウンターで点をもぎ取るかという展開だった。

 攻めているチームが焦れても不思議はなかったが、東海大高輪台の川島純一監督は「前半に点が取れていれば楽でしたけど、先に取られればバタバタしてしまう。じっくりと地に足をつけてできたと思います」と慌てずに試合を進めていたことを明かした。

 そして、後半が始まってすぐに東海大高輪台が「秘密兵器」を繰り出した。後半2分、左サイドでスローインを得ると、左DF宮田龍芽(3年)がゴール正面までロングスローを飛ばし、ファーから走り込んだMF藤井一志(3年)がヘディング。ゴール右に突き刺し、先制に成功した。

 藤井は「宮田のロングスローは、めちゃくちゃ飛ぶ。相手もそこまで警戒していなかったと思います。だから、フリーで合わせることができた。ロングスローは一発で入るとは思っていないし、こぼれ球を狙って決まるものだと言われていますけど、運があるのか、流れてきてくれて触るだけでした」とゴールを振り返った。

 それまで一度も投げなかったスーパーロングスローで相手の意表を突く一撃を見事に決めると、5分後には藤井の縦パスから足立がシュートを放つなど、東海大高輪台が攻撃のテンポを上げていった。

 そして後半14分、自陣のFKをGK豊田隼(3年)が前方へフィードすると、相手がヘディングで後ろにそらしたボールを横山、MF細野空人(3年)とつないで、ゴール前でパスを受けたFW小林亮翔(2年)が倒れ込みながら左足でシュート。一度はGKに防がれたが、こぼれ球を今度は右足で蹴り込み、追加点を奪った。

 ポゼッションで押し込みながら点を取り切れなければ「負けパターン」だが、セットプレーで2得点を奪った東海大高輪台は、明確に試合の主導権を握ることに成功した。

 しかし、東京朝鮮の闘争心は、折れるどころか燃える一方だった。2失点後は、選手交代で前線に人数を割いてパワープレーを敢行。後半21分にFW梁潤大(3年)がGKのパントキックに飛び込んでブロックするなど、身体を投げ出すプレーで相手に圧力をかけた。さらに左右からクロスが飛べば、誰かが必ず体ごと飛び込んだ。

 後半35分にはMF金希剛(3年)が強烈なランニングミドルシュート。39分にもスローインのこぼれ球をMF金樹成(3年)が狙うなど猛攻を仕掛けた。アディショナルタイムには、浮き球をMF黄世帆(2年)が競ったこぼれ球にMF玄永周(3年)が走り込んで打ったシュートがニアポストに跳ね返る惜しいシーンがあった。しかし、長身DF鈴木颯太(3年)を中心に守り抜いた東海大高輪台が完封。2-0で勝利を収めた。

 主将の藤井は「セットプレーでやられたら、流れを持っていかれると思っていたので、こぼれ球に2回、3回と寄る意識でシュート打たせずブロックなど、全員が意思統一できた」と手応えを示し、「決勝でもやることは変わらない。入学した当初からの目標は、全国制覇。次の試合で良い発表会ができるように頑張りたい。力を発揮できれば全国でも通用する力はあると思っている」と強気で全国切符獲得を誓った。16日の決勝戦では東久留米総合高と対戦する。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2019

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