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[MOM3048]東久留米総合FW松山翔哉(3年)_2戦連続決勝点。味方も驚くスーパーゴール

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FW松山翔哉(3年)が熱戦にピリオド

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 選手権予選準決勝 関東一0-1(延長)東久留米総合 味フィ西]

 延長後半5分、死力を尽くした熱戦にピリオドを打ったのは、最前線でゴールを狙い続けた背番号12番だった。

 東久留米総合高は、相手のスローインを自陣ゴール前の混戦から弾き返すと、途中出場のFW山中真紘(3年)が空中戦で相手と競り合ってボールを前線に残した。すると、後方から走って来たFW松山翔哉(3年)がドリブルで一気に敵陣へ。右後方から追いかけた山中が自分の前方にラストパスを要求したが、松山はシュートを選択。2人の守備者の間を射抜いたボールがゴール右端に決まった。

「ドリブルをしているときに山中が結構呼んでくれていて、相手のセンターバックも(山中)真紘を指さしていて、(カバーに)気が向いていてシュートコースが見えたので打ったら、あまりコースを狙った感じではなかったんですけど、入ったという感じです。もう、嬉しかったです」

 ストライカーは、ゴールを決めることに最大の存在価値がある。準々決勝に続いて決勝点を挙げた松山は、序盤からサイドアタックに反応して裏への抜け出しを狙い、誰よりも多くシュートを放っていた。中でも得意とするロングシュートは狙っていたという。得点の場面もペナルティエリアの外から。山中を囮に使ってタイミングを逃さず、勢いを落とさずに決め切った。

 加藤悠監督は「ビックリしましたね。うちの中では、足を振れる選手。(シュートしたボールが)パワーを持った状態でゴールラインまで届く選手。延長で代えようかなと思いましたけど、足が攣るまでは引っ張ろうと思いました。最後、松山を残したことが結果につながって良かったです」と松山を信じた結果、得られた勝利を喜んだ。

 指揮官も驚きを隠さないスーパーゴールだった。何しろ、延長戦まで走り続けた中、長い距離をドリブルで運んで、そのままミドルシュートという体力を要する一発を見事に決めたのだから。なぜ、その場面でそんなシュートを決められるのか。チームメートも、不思議に思ったようだ。

 主将のDF下田将太郎(3年)も「信じられない、入っちゃった……、という感じ。リードできたので、しっかり守り切って勝とうと思った。それにしても、やっちゃったよという感じ。なんか、決めちゃうんですよね。普通のシュートを決めろよと思いますけど」と苦笑いで振り返った。しかし、ボランチの足立真(3年)が「あのゴールで盛り上がって、最後まで守り切ることができた」と話したように、普通ではない一発だったからこそ生まれたエネルギーもある。

 ストライカーが決めるゴールは、味方に勇気を与える。どれほど辛く厳しい内容になろうとも、最前線までボールをつなげば一発があると希望を持てるからだ。試合中、松山に対する「翔哉」連呼のコールは、その期待を表すものであり、松山の力になり、その姿が声援を呼び起こすサイクルを生んでいた。

 次の決勝戦を勝てば、全国大会出場だ。松山は「相手も勢いがあると思うけど、僕たちも関東第一を倒して勢いがある。同じくらいの力があると思っているし、チャレンジャーの気持ちでいきたい」と意気込みを語った。3戦連続のゴールを奪えれば、求める結果に大きく近付ける。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2019

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