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[MOM3052]愛工大名電GK安原哲平(2年)_“バレー家系”のポテンシャル、フィールド出身の武器

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歓喜の瞬間を迎えた愛工大名電高のGK安原哲平(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 高校選手権愛知県予選準決勝 中京大中京1-1 PK5-6 愛工大名電 パロ瑞穂]

 愛工大名電高のスタメン唯一の2年生は181cm、75kgの守護神だ。「がっちりとした、恵まれた体をしている。身体能力が高い」(宮口典久監督)とポテンシャルを評価され、1年生からゴールマウスを預かるGK安原哲平(2年)。延長を含めた100分間、PK戦に及んだゲームを通して、大きな存在感を放った。

 1-1で延長戦を終え、勝負の行方はPK戦に委ねられた。「練習ではあまり止められないです」と笑う安原は先行・中京大中京の1人目のキッカーと対峙。フェイントを2回入れられたが、「最後まで見るようにしている」と動かず。駆け引きに勝ち、コースを完全に読み切ると、右に飛んでシュートストップ。パロマ瑞穂スタジアムを沸かせた。

 総体準決勝はPK戦で敗れたが、同じステージで今度は歓喜の瞬間を迎えた。膝から崩れて咆哮すると、チームメイトが次々と駆け寄ってきた。

 父は元バレーボール選手で、豊田合成トレフェルサの監督も務めた貴之氏。母、兄2人もバレーボールで活躍した家系で、その血を引き継ぐ。小6まではサッカーとバレーを両立したが、「サッカーのほうが楽しかった」。バレー仕込みの跳躍力にも優れるが、一番の特長はキック精度だ。

 その技術はフィールドプレイヤー時代に培われた。愛知FC一宮でプレーした中2まで、定位置はセンターバック。正GKが負傷したことが契機となり、GKに転向した。「ハマりました。完全に」。ビルドアップに絡める足元の技術を持ち、「キックからチャンスを作れたらと意識している」と強烈なロングキックを蹴り込む。

 さらに、長きに渡った試合を通して、的確に状況を判断するコーチングも目立った。これもまた「センターバック時代から」という武器。「シンプルに!」という声が、タッチライン際から指示を飛ばす宮口監督とかぶる場面もあった。声を張ってチームを動かし、最後尾から盛り上げる。頼もしい2年生GKが最後尾にどっしりと構え、勝利を呼び込んだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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