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手の甲に書かれた「信」という文字。前原が粘り強く走り負けないサッカーで5年ぶりV:沖縄

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沖縄県大会優勝は前原高

[11.9 選手権予選決勝 前原2-0普天間 沖縄県陸]

 第98全国高校サッカー選手権沖縄県大会は9日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで決勝が行われ、前後半に1点ずつを奪った前原高が2-0で普天間高を破り、5年ぶり3回目の優勝を果たした。

 左から右へ強い風が吹き込むピッチ上。試合前のコイントスに勝った普天間はあえて向かい風を選択し、オープンな展開になりやすい後半に勝負をかける。だからこそ前原は「前半1点さえ取れれば(和仁屋恒輝監督)」という気持ちが強まり、前半は前に向かう姿勢、残りの後半40分は粘り強く走り負けないサッカーに徹しようという意識が高まった。

 しかし試合開始直後、その思いが裏目に出る。開始40秒、前掛かりになる前原に対し、普天間がセンターサークル付近から浮き球でDFラインの裏を狙うと、2年生GK中山音弥が飛び出しに躊躇。かろうじてCB津覇勇気(3年)が触って弾き返そうとするも、クリアボールがCB新垣大輝(3年)に当たり、ボールは無人のゴールへと転がる。しかし、右SB渡名喜玲於(3年)が懸命に追いかけ、間一髪でクリアして難を逃れた。「この大舞台で緊張し体がかたまってしまった」と、津覇は試合に入れてなかった時間帯でのプレーを振り返り自省した。

 最大の危機を脱した前原は、得点源の普天間のエース・渡慶次悠作(3年)を二人以上で抑えこみ、アンカーの位置から平川龍(3年)が攻撃のスイッチを入れる。小気味よいパスワークと強風を利用した積極的な裏への展開を繰り返していく中、左WG大城魁人(3年)とCF島袋吏生(3年)のホットラインが垣間見られるようになる。「ずっと前から大城と話し合っていて狙っていた」(島袋)展開は前半23分、実を結ぶ。大城が左からアーリー気味に浮き球のクロスを上げると、DFラインの背後を狙った島袋が飛び出してヘディングシュート。これが決まり、前原が欲しかった先制点を奪う。

 思い通りの展開となった前原は、後半風下に立つも「準決勝と同じような状況だぞ」と、宿敵・那覇西高を破った準決勝でのプレーを選手たちに思い出させた和仁屋監督は、鍛え上げた走り負けないサッカーを演じるよう選手たちに指示。予想通りに逆襲を始める普天間に対しても前原のDF4枚が粘り強くアタッキングエリアへの進入を防ぎ切り相手の攻撃の芽を摘む。

 1点の攻防が試合終了間際まで続く展開。その中でも「ずっとDFが体を張って守ってくれたので、それに応えたかった」、と先制弾の島袋は常に目線をゴールに向けていた。すると80分を経過しアディショナルタイム3分。GKも攻撃参加してパワープレーを仕掛ける普天間のCKに対しMF新里美雅(2年)が懸命に外へ掃き出すと、センターサークル付近でそのボールを拾った島袋が前へと独走。左へ流れたところで遠目から狙ったシュートがゴールへ吸い込まれた瞬間、勝負は決した。

 参加54校の頂点に立ち、5年ぶりの選手権出場を果たした前原の選手たちの手の甲に書かれた「信」という一文字は、仲間を「信」じるという意が込められている。「前原の伝統を築いてきてくれた先輩方の思いも背負って全国の舞台に立ちたい」と、主将の平川は力強く拳を握る。

 また昨年のインターハイで山梨学院高(山梨)に初戦で敗れた悔しさも忘れていない。「その経験は良い方向にとらえているし、体の強さやパススピードに対応するために一年間やってきた。全国に向けてさらに鍛えたい」と主将は気を引き締めた。準決勝で平成の沖縄サッカー界を彩った名門・那覇西を下した前原が“令和初”の代表権を獲得した。

(取材・文 仲本兼進)
●【特設】高校選手権2019

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