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翔凜がPK戦制し、校名変更後初の千葉準決勝進出!次戦は流経大柏とのリベンジマッチ

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PK戦を制した翔凜高の選手たちは喜びすぎずに、暁星国際高の選手たちと健闘を称え合っていた

[11.10 選手権千葉県予選準々決勝 翔凜高 1-1(PK4-2)暁星国際高 柏の葉]

 翔凜が校名変更後、初の千葉4強! 10日、第98回全国高校サッカー選手権千葉県予選準々決勝が行われ、翔凜高と暁星国際高が対戦。1-1で突入したPK戦の末、翔凜が4-2で勝った。翔凜は13年度以来6年ぶりとなる4強入り。27日の準決勝で流通経済大柏高と戦う。

 15年に千葉国際高から校名変更した翔凜は新校名で初となる4強入り。前回はその後鹿島入りしたFWカイオ(現ベンフィカ)とDFブエノ(現鹿島)というスペシャルな2人を擁していたが、今回はそこまで突き抜けた選手はいない。それでも、MF篠塚大心主将(3年)が「苦しい時間もあったりしたんですけれども、全員で勝とうという思いでやってきました。勝因は応援してくれる仲間たちの思いを背負っているということを確認してプレーできたこと」という翔凜がPK戦の末、準決勝へ駒を進めた。

 対戦した暁星国際は山口内定の188cmレフティーCB国本玲央(3年)と、こちらも186cmのCB桒田大誠(2年)という大型ストッパー2人と、機動力優れたスイーパー・DF白井百太朗(2年)を中心に5人のDFを配置。桒田らが前向きにボールを奪ってそのまま前進したり、再三左足で会場を沸かせていた国本の見事なサイドチェンジなどから先制点を目指した。

 そして前半16分、暁星国際はカウンターから最後はFW二見駿平(2年)とのワンツーで抜け出したFW前橋優輝(3年)が先制点。一方で翔凜はこの日、注目エースのFW角田悠斗(3年)が静岡での大学受験のために試合開始時に不在だったが、ボールを繋ぎ、右の突破口・MF 川嶋宙大(3年)の縦突破や白根英隆監督が「ずっと練習で調子良くて使ってやりたいなと。ずっと黙々と練習をしていたので」と評するMF久松拓夢(3年)のロングスローなどから攻め返す。

 そして27分、久松の右ロングスローのこぼれ球を右SB土田達也(3年)がゴールに押し込んで同点に追いついた。そして、前半途中に会場に到着した角田が後半開始から出場。「(前半が)同点だったので嬉しかったです」と言うエースが翔凜のサイド攻撃を加速させた。

 投入直後から存在感を放つ角田の細かなタッチのドリブルやサイドチェンジ、また相手の大型ストッパー相手に奮闘していたFW石川裕武(3年)中心に攻める翔凜に対し、暁星国際もスペースを活用した攻撃から前橋が連続シュートを放つなど対抗する。

 13分、翔凜は篠塚が左サイド後方からFKを蹴り込むと、暁星国際DFがホールディングの反則を犯してPK。これを中央学院高戦で決勝PKを決めている石川が右足で狙ったが、暁星国際GK吉川健斗(3年)が右に跳んで止めると、こぼれ球から打たれたシュートも身体に当てて失点を阻止する。

 試合は後半半ばからオープンな打ち合いとなった。暁星国際は右WB矢部優輝(3年)の積極的な攻撃参加やMF岸野敬太(2年)のロングスローを交えた攻撃からチャンスを作り出し、後半36分には矢部のクロスから最後は交代出場MF志岐真宙(3年)がシュートを放つ。だが、今度は翔凜GK浅沼斗雅(3年)がグッドセーブ。試合は1-1のまま延長戦に突入した。

 延長戦も互いが勝利への執念を感じさせるような展開。翔凜の白根監督は「どこにボールが転がるかで勝敗が決まったんじゃないかなと。運が良かったです」と微笑んでいたが、拮抗した戦いで引かずに前に出続けた。そして、守備では197cmの1年生CBデアスンプサオ・レオナルドとCB松井朱真(3年)、浅沼を中心に得点を許さない。暁星国際も白井の鋭いカバーリングなどで勝ち越し点を与えず、決着はPK戦に委ねられた。

 PK戦1人目、先攻・暁星国際のシュートが枠上へ。さらに4人目が翔凜GK浅沼に止められてしまう。一方、翔凜は角田、同じく大学受験のために途中出場となったFW松崎虎太郎(3年)、松井と決めると、最後は土田が右足で決めて準決勝進出。篠塚は「PK戦は相手に外してもらいたいとかじゃなく、自分たちのできることをしっかりとやっていこうという気持ちを持ってみんなやっていたと思う。今回勝てて良かったです」と頬を緩めた。

 今年の翔凜について白根監督は「毎年一緒なんですけれどもマジメで僕が練習するのが楽しくなるくらいの。僕あまり怒ったことがないですね。選手がなるべく考えてやる」と説明する。篠塚を中心に自発的に校内清掃をするなど行動力もある集団。試合中、白根監督やコーチ陣はほぼ立ち上がらず、ベンチにどっしりと座っていた。信頼を受ける選手たちは翔凜という名を広めることや、全国出場という野心も持って戦っている。

 篠塚は「ベスト4は本当光栄ですけれども、暁星国際の分も戦わないといけないのでしっかりと準備して戦いたい。(準決勝で対戦する)流経は去年の選手権で負けているんで、その借りをしっかりと返したい」と語り、浅沼は「やっぱり流経とか市船とかに比べたら『翔凜なんて…』みたいな感じがあって、名前が知られていなかったりするので、チームみんなで頑張って、翔凜という名をブランドにしたいです」と力を込めた。挑戦者として臨む王者・流経大柏戦。1-3で敗れた昨年のリベンジを果たしてチームの歴史を塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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