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翔凜エースMF角田は大学受験後に約300km移動して後半から出場。技術で空気感を変える:千葉

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翔凜高の10番MF角田悠斗はテクニカルなドリブルなどで存在感

[11.10 選手権千葉県予選準々決勝 翔凜高 1-1(PK4-2)暁星国際高 柏の葉]

 エースが試合会場に到着したのは前半20分頃。この日、翔凜高の10番MF角田悠斗(3年)は静岡県内で大学受験を行い、その後、約300kmの距離をJR新幹線とJR在来線、そして車を乗り継いで移動し、試合会場の柏の葉公園総合競技場にたどり着いた。

 元々、この日の第3試合に組まれていた試合の開始予定時刻は15時。それでも角田は「絶対に間に合わないと思っていました」と振り返る。だが、第1試合が延長戦にもつれ込んだことで、試合開始時刻が15時25分に変更。大学で面接の順番を早めてもらったことや、第1試合が熱戦になったお陰もあって、10番は後半開始からピッチに立った。

 すると、角田はテクニカルなドリブルと、複数のDFを引きつけてからのサイドチェンジですぐさま攻撃の中心に。「かましてやろうと。歓声が気持ち良すぎてノリノリでやっていました」という角田は積極的にボールを受けて前を向き、相手ゴールを目指し続けた。

 白根英隆監督も「彼が入ってちょっと空気感が変わった。トーナメントで試合を重ねるごとに良くなってきています」と評価。ただし、急ピッチで準備したこともあって、本人は「アップ不足で脇腹が痛くなって…」。ベストのパフォーマンスができた訳ではなかったが、存在感のある動きでチームを引っ張った10番は、PK戦1人目でしっかりと成功するなど勝利に貢献した。

 試合に間に合わないことを覚悟していた。だからこそ、チームメートの一人ひとりに「オマエにできることを考えてチームのために貢献してくれ」とLINEでメッセージを送っていたという。仲間たちはエース不在の中で先制されながらも、前半のうちにゴール奪い返してくれた。そして自分が加わった後も各選手がやるべきことを表現して勝利に貢献。エースはその奮闘に次は結果で応えるつもりでいる。

 準決勝の対戦相手は前回大会準々決勝で1-3のスコアで敗れている流通経済大柏高。だが、唯一の1点を奪ったのが角田だった。リベンジマッチへ向けて角田は「ブチ込むだけです。流経ゴールに。全然負ける気がしないです」。ベルギー代表FWエデン・アザールに憧れるアタッカーが流経大柏ゴールにシュートを叩き込んで、仲間たちに“恩返し”する。

(取材・文 吉田太郎)
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