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[MOM3058]草津東FW渡邉颯太(3年)_時間限定での出場も、際立つ動きで快勝もたらす

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草津東高FW渡邉颯太は後半開始から出場して1ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 選手権滋賀県予選準決勝 水口高 0-4 草津東高 皇子山陸上競技場]

最後の最後に決めた、意地のゴールだった。

後半開始からピッチに立った草津東高FW渡邉颯太(3年)は40分間だけで両チーム最多となる5本のシュートを放ったが、相手守備陣の厳しいマークもあってなかなか得点には至らない。しかし、終了間際の39分、MF夏川大和(3年)からのパスをエリア内で受けると、ゴールネットを揺らして試合を締めくくった。

「それまでずっと外していたので、1点は取りたかった。決められてよかったです」と苦笑いを浮かべた渡邉だが、存在感は際立っていた。前線で起点となり、ゴール前でシュートまで持ち込む力がある。

 MF小酒井新大(3年)が「キャプテンが入ると雰囲気が引き締まる。パスの出し手としても、颯太はボールを収めるのが上手いので、自分も前へ動き出して攻撃へ絡みやすい」と話せば、この試合で1得点3アシストと全ゴールに絡んだ夏川も「DFのマークや意識が颯太に集まるので、後半は相手の隙を突きやすかった」と中盤の選手が得点やアシストに名を連ねた活躍の裏に、渡邉の存在があったことを明かしている。実際に対峙した水口高のDF中本桂太(3年)も「僕たちが意識しすぎた。一人の選手が入っただけで3失点してしまったし、球際やヘディングの強さなどは一枚上だった」と振り返っている。

 今大会は大量得点で勝利した2回戦と3回戦はスタメン出場から途中交代、準々決勝からは交代出場が続いている。牛場哲郎監督は「怪我やコンディションの問題で、万全の状態ではない。出場時間は短くしている」と説明する。渡邉自身は「もちろん80分プレーしたい気持ちはあるけれど、そこは現状を受け入れて、与えられた時間で何ができるのかを考えています」と話している。

 そうした起用法でも、ゴールは決め続けている。今大会ここまで4試合で7得点。準々決勝・野洲戦では、決勝点をあげてチームを勝利に導いた。牛場監督は「時間を与えればチャンスを作ってくれるし、ゴールを決める力もある。チームとしては長い時間で使いたいんだけれど、プラスに考えれば攻撃に変化を加えられる、圧力を高められる。それは今大会を勝ちあがれている理由の一つだと感じています」と、最強の切り札がリザーブに控えている効果を強調。副キャプテンのDF小林悠衣斗(3年)も「無失点に抑えていれば、途中から出場して点を取ってくれるとみんなが信じていた。渡邉の存在はチームにとっての希望です」と話す。

 さらに主将としても「1年生から試合に出ていて、チームを引っ張る選手。他の選手も彼を信頼している。プレーでも精神的にも、このチームの強みとなれる存在です」(牛場監督)と全幅の信頼が置かれている。

 この試合でもスタメンには夏以降の成長が著しいFW藤田大地(1年)が名を連ねたが、先制点を奪いながら、やや停滞感もあった前半の試合内容を受けて「1点リードだけど『後半も点を取りに行くぞ!』というメッセージも込めて」(牛場監督)後半開始から投入されて、攻撃を活性化させた。得意のサイド攻撃も、ゴール前で勝負できる渡邉のようなFWがいてこそ最大限に発揮される。

 近江高との決勝戦に向けて「インハイ決勝では悔しい思いをしたし、次は絶対に負けられない」と思いを口にした。限られた出場時間でもエースとして、キャプテンとして、自らの責務を果たしてチームを全国へと導く。

(取材・文 雨堤俊祐)
●【特設】高校選手権2019

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