beacon

涙の4強敗退も熱田が奮闘…“対私立”へ熱を入れた青木宏憲監督のラストイヤー:愛知

このエントリーをはてなブックマークに追加

最後まで走り負けず、奮闘した熱田高

[11.9 高校選手権愛知県予選準決勝 岡崎城西1-0熱田 パロ瑞穂]

 私立の強豪校を打ち破り、準決勝まで勝ち上がった公立の雄・熱田高が涙を飲んだ。3回戦でインハイ王者の名経大高蔵高を撃破すると、準々決勝はPK戦の末に名古屋高に競り勝ち、パロマ瑞穂スタジアムの舞台に立った。

 熱田高サッカー部OBの青木宏憲監督は定年退職を年度末に控え、これがラストイヤー。「そこまで能力が高い選手がいるわけじゃない。“対私立”に、我々公立高校がどうやって戦うか。選手はピッチ上でよくやってくれました」。指揮官は最後まで走り負けず、岡崎城西を苦しめたイレブンを称えた。

 安定したセービングが光ったGK上田雄太郎(3年)をはじめ、5バックはDF虎渓耕常(3年)を中心に守備ブロックを組み、分厚い攻撃に晒された前半を最小失点にとどめた。ラスト10分は最後の反撃へ。DF岩垣心(3年)のロングスローからチャンスを広げ、後半32分にFW松原由衣人(2年)が左足シュート。36分にはFW山下侑太郎(3年)、MF清田侑大(3年)とつなぎ、MF橋本開(2年)がドリブル突破からフィニッシュに持ち込んだ。

 後半39分にはロングスローの二次攻撃から松原がアーリークロス。清田がヘッドで飛び込むチャンスもあったが、最後までゴールをこじ開けられず、試合終了の笛が鳴った。主将のMF平野公聖(3年)は「みんなと一緒にやるサッカーが楽しかった」と清々しい表情で言った。

 4強で大会から姿を消し、3年生とともに青木監督も“引退”する。「先生が僕たちに気にさせないようにしてくれたのか、試合をしている間は最後だと気にしていなかったけど、終わってみると寂しいなと思います。ここで終わってしまって。全国に一緒に行けたら良かった」(平野)

 今年度は監督就任から8年目。青木監督は「レギュラーの3年生が全員残ったのは初めて。僕が今年最後ということを3年生が分かってくれたのもあったと思う」と述べ、感謝をにじませた。ラストイヤーの指導には自ずと力が入ったという。

「表面には出さずに、熱を入れていました。いいチームに仕上がってくれました。楽しかったですよ」(青木監督)。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

TOP