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「絶対王者」はPK戦でも負けない―。青森山田が青森23連覇!

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青森山田高が青森23連覇を達成

[11.16 選手権青森県予選決勝 青森山田高 0-0(PK4-2)八戸学院野辺地西高 青森県総合]

 負けない王者・青森山田が青森23連覇! 第98回全国高校サッカー選手権青森県予選決勝が16日に青森県総合運動公園陸上競技場で行われ、昨年度日本一の青森山田高が23年連続25回目の全国大会出場を決めた。八戸学院野辺地西高と対戦した青森山田は0-0で突入したPK戦の末、4-2で勝利。第1シードとして臨む全国大会の組み合わせ抽選会は、18日に開催される。

 青森山田の黒田剛監督によると、過去の22連覇で決勝のPK戦は無かったという。それが今回は初めてPK戦にまで持ち込まれた。CB宍戸勇介(3年)とCB堀田玲穂(2年)、GK鈴木奏汰(2年)を中心に八戸学院野辺地西が粘り強く守っていたこと、限りなく善戦したことは間違いない。前回日本一の「絶対王者」が100分間無得点。それでも、青森山田は負けなかった。

 健闘した相手に決定的なシュートを打たせず、インターハイ全国3回戦で敗れて教訓にしてきたPK戦で上回って勝利。PK戦を含めてほぼ隙の戦いで挑戦者を退けた。これで青森県内での公式戦連勝は359。他県の例を見ても勝ち続けることが難しくなっている中、改めて勝負強さを示した青森山田の「伝統」は今年もまた受け継がれた。

 インターハイ予選決勝での対戦時は、青森山田が開始4分で2得点を奪って2-0で勝利。それだけに、八戸学院野辺地西は立ち上がりに失点しないことに集中した上で、風速約10mの追い風を活かした攻撃で前半に1点を奪いに行った。

 左SB嶋脇麟太郎(3年)のロングスローやロングボールをPAに入れ、こぼれ球を狙った攻撃。また、MF佐々木大羅主将(3年)とMF山谷麻尋(3年)、MF工藤拓人(3年)が前を向いてショートパスでの崩しにチャレンジするシーンもあった。そして、30分には嶋脇が左サイドを深く切れ込み、FW吉川竜世(3年)が右足シュート。だが、青森山田はこれをCB藤原優大(2年)がブロックするなど決定打を絶対に打たせない。

 青森山田はAFC U-19選手権予選(11月6日~10日、ベトナム)から帰国したばかりの浦和内定MF武田英寿(3年)が余裕のある動き。相手のマークを幾度も剥がし、味方のクロスや自身のシュートに繋げていた。また、MF後藤健太(3年)とMF浦川流輝亜(3年)のクロスや右SB内田陽介(2年)のロングスローで相手にプレッシャーをかけたが、26分にこぼれ球からMF松木玖生(1年)の放った左足ミドルはクロスバーをヒット。また、前半に関してはボールの失い方の悪い場面が散見された。

 だが後半、風上に立った青森山田は相手にほとんど攻撃機会を与えずに攻め続ける。八戸学院野辺地西は12分に右CKから宍戸がヘディングシュートを放ったが、全体的に攻撃での精度を欠き、青森山田にボールを支配されてしまう。GK鈴木の距離のあるキックがPAに到達するも、青森山田は藤原とCB箱崎拓(3年)を中心にチャレンジ&カバーを徹底。バタついたり、動揺することなく守り、味方の波状攻撃に繋げていた。

 青森山田は後半にギアの上がった横浜FC内定MF古宿理久(3年)のサイドチェンジなどで揺さぶりをかけ、クロスを連発。そして、24分にはDFと入れ替わった武田がゴールに迫り、25分には後藤がPAへ抜け出す。だが、いずれもGK鈴木がストップ。この日、青森山田は最後の局面で冷静さを欠いてしまう選手も多く、「我々としては我慢強く戦うしか無いですし、相手は全国チャンピオンですし、リスペクトした中で我々がやれることをしっかりとやる」(三上晃監督)という八戸学院野辺地西から1点を奪えなかった。

 王者には不運もあった。0-0のまま突入した延長戦の後半5分にはPA付近での競り合いからこぼれ球を拾った武田が左足でゴールネットを揺らしたものの、直前にファウルの笛が鳴ったという判定でノーゴールになってしまう。場内は騒然となったが、それでも、古宿が「ヒデ(武田)のシュートが決まって取り消しになったんですけれども、そこではあんまり不安にならなかった。ゼロで行けば勝てると思っていたので」と語ったように、要所を締めた青森山田はPK戦でも主導権を握って白星を引き寄せた。

 PK戦1人目、青森山田は正座する独特のルーティーンからGK佐藤史騎(3年)が後攻・八戸学院野辺地西のシュートをストップ。優位に立った青森山田は1人目の武田から藤原、MF安斎颯馬(2年)、松木と成功する。対して、八戸学院野辺地西は4人目のシュートが枠を越え、決着がついた。

「点は獲れなかったけれども、獲られないということはプラン通りだった」と青森山田の黒田監督は話す。インターハイ後のプレミアリーグEASTでは5試合で計11失点。終了間際の失点が増加するなど“らしくない”戦いが続いていたが、1か月半で修正し、今回の予選では無失点で終えている。

 今回の決勝を控えた12日、元日本代表GKで青森山田の指揮を執った経歴も持つ田口光久さんがなくなった。黒田監督は「新人戦で優勝した次の日になくなって、メッセージ性があるのかなと思いながら…。今年は危ないぞ、気をつけろよとメッセージを頂いた気がする」。油断せず、引き締めて戦ったチームは、伝統を築いた一人である田口さんに捧げる青森制覇を果たした。

 これで選手権連覇、そして首位を走るプレミアリーグEASTとの2冠へ一歩前進。特に00、01年度優勝の国見高以来となる選手権連覇に注目が集まる。昨年、主力として選手権優勝を経験している武田は、「去年、最高の景色を見せてもらって、もう1回あの景色を見たい、見せたいという気持ちがあるので、しっかりと結果を残して優勝したい」と宣言。青森の絶対王者が全国でも再び勝負強さを示す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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