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[MOM3061]青森山田GK佐藤史騎(3年)_勢い止めた守護神、“正座”ルーティンからPK戦1人目ストップ !

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PK戦1人目、シュートを止めた青森山田高GK佐藤史騎が右手を突き上げる

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.16 選手権青森県予選決勝 青森山田高 0-0(PK4-2)八戸学院野辺地西高 青森県総合]

 守護神が名門を青森23連覇へ導いた。青森山田高は計15本のシュートを放ちながらも精度を欠き、八戸学院野辺地西高の好守もあって延長戦を含めた100分間で無得点。過去22連覇中の決勝では一度もなかったというPK戦へ持ち込まれた。

 だが、経験豊富で「アイツは度胸も座っている」(黒田剛監督)と評されるGK佐藤史騎(3年) は、PK戦を窮地にしなかった。八戸学院野辺地西は100分間を無失点で終えて、スタンドも大いに盛り上がっていたが、その1人目のシュートを右に跳んでいきなりストップ。「蹴り方であったり、助走の入り方で分かりましたね」。これで精神的に楽になった青森山田の選手たちは4人全員が成功。自分の間で相手に蹴らせた佐藤の前に、八戸学院野辺地西は4人目のシュートも外れ、青森山田が全国切符を勝ち取った。

 青森山田はインターハイ3回戦で北越高にPK戦で敗戦。今年の高体連屈指のGKと言われる佐藤だが、PK戦で1本も止めることができずに涙をのんだ。当時は3人目から流れを変えるために、先輩GK廣末陸(現山口)やGK飯田雅浩(現国士舘大)が見せていた“正座”のルーティンを取り入れたが、自分の間で立つことができず、結果に繋げることができなかった。

 だが、公式戦では北越戦以来となるこの日のPK戦で、佐藤は1人目から“正座”のルーティンを活用。インターハイ後により、自分のタイミングでPK戦に臨めるように準備してきた成果を発揮した。やや長めのルーティン。それが自身の心を落ち着かせて好セーブを引き出し、相手に重圧をかけた。

「今回の選手権は自分のタイミングでできました。相手のタイミングで蹴らせないように誘導できていたので、相手も蹴りにくかったのかなと思います。ここが自分の見せ場だと思って、絶対に目の前の1本を止めるという気持ちでやって止めれて良かったです」。全国大会でPK戦になっても自分の間で止めて、チームを勝たせる意気込みだ。

 昨年の優勝GK飯田と比較されるのは覚悟の上。それでも乗り越えるつもりでトレーニングを行ってきた。結果では負けられない。「飯田選手を越えたいとも思っていますので、絶対に決勝へ行って優勝したい」。先輩GKに並び、越えるためにも青森山田のゴールを守り続ける。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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