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[MOM3063]昌平DF西澤寧晟(3年)_攻撃的チームの守備の肝、先取点と無失点で勝利に貢献

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前半27分、昌平高CB西澤寧晟が先制ゴールを喜ぶ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 選手権埼玉県予選決勝 西武台高 0-4 昌平高 埼玉]

 上手いチームが負けるパターンは、2つある。1つは、決定力不足で攻め切れない形。もう1つは、カウンターなどで守備が崩壊してしまう形だ。埼玉県で屈指の技巧派チームである昌平高が、決勝戦を4-0と強い勝ち方で締めくくった背景には、陥りやすい2つの形を解消したセンターバック(CB)の働きが大きかった。

 押し込む昌平とカウンターを狙う西武台高の展開となった前半の27分、右CKからヘディングシュートを叩き込んだのが、CB西澤寧晟(3年)だった。中央ゴール前、少し後ろに戻りながら頭で合わせた。西澤は「ヘディングをした後、相手でボールが見えなくて分からなかったけど、みんなが喜んでいたから、決めたんだ! と分かった。ワンテンポ、喜ぶのが遅れましたけど、今までに決めたゴールの中で一番嬉しかったです」と笑顔で先制点を振り返った。

 大舞台では、先制点が試合の展開を大きく左右する。粘り強く戦いたかった西武台にとっては、ショックの大きな一撃となった。押し込まれることは覚悟の上で反撃を狙っていた西武台の守屋保監督は「(先制点は)大きかった。まさか、セットプレーで取られるとは思っていなかった。思った以上に、相手がヘディングも強かった。良いタイミングで良いボールでした」と素直にダメージを認めた。

 昌平は、長短のパスを効果的に用いたパスワークが伝統。攻撃陣が注目を浴びることが多い。守備の要となるCBも、他チームならボランチが務められるレベルのパスの精度と展開力が求められる。一方、人数をかけて攻撃するため、カウンターを受けるリスクもあり、最終ラインはリスク管理に関して高い集中力が求められる。センターバックは、勝ち上がるためには、多くの要素を満たさなければならない。

 だからこそ、藤島崇之監督は「結果としてゴールを多く奪えましたが、失点ゼロというのが選手の頑張りの結果だと思います。攻撃陣に注目してもらうことが多いですが、粘り強く守れた」と4-0の圧勝劇の中でも、守備陣の健闘を称えることを忘れなかった。

 後半は、中盤で相手の攻撃を食い止めて波状攻撃を仕掛ける展開となったが、数少ないピンチの芽をしっかりと摘んだ。CBを組む柳澤直成(3年)とともに無失点に大きく貢献した。大会を通じて6試合で1失点。西澤は「チームがスタートしたばかりの頃は、失点が多いのが課題でした。でも、攻守の切り替えが速くなり、今は中盤で狙えていて、後ろまでボールが来る回数は少ない。その分、数少ない中でいかに集中して止められるかにフォーカスしている。2回戦で1失点したけど、ほかは無失点で抑えられたので、良かったと思う」と守備の手応えを語った。

 強い勝ち方で埼玉県の頂点に立ったが、満足感はない。目標は、もっと高いところにある。「元々、チームの目標は、日本一。関東大会もインターハイも県予選で負けて、もう選手権しかないという状況で一致団結できた。応援して下さる方々のためにも、昌平高校のサッカーを全力で表現して、全国でも勝ち進んで行きたいです」。最後尾で攻撃的チームの守備を締める要の働きは、より大きな舞台で試される。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2019

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