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「一泡吹かせるくらいの力があった」聖光学院、宿敵・尚志との1点差に涙

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聖光学院高は宿敵・尚志高に敗れて準優勝に

[11.17 選手権福島県予選決勝 尚志高 1-0 聖光学院高 西部サッカー場]
 
 インターハイベスト4の尚志高相手に接戦に持ち込んだ。山田喜行監督が「一泡吹かせるくらいの力があったと思います」と評する聖光学院高は、相手の強力攻撃陣を1点に抑え、自分たちもビッグチャンスを作った。それでも、スコアは0-1。12年度以来となる全国出場を目指した聖光学院は準優勝に終わった。

 主将の右SB小幡俊介(3年)は「自分たちの長所である守備は80分間通してやり切れたと思うけれど、やっぱり尚志は最後まで集中切らさずに声を出していたので、それが1点の差になったと思います」と悔しがる。

 今年のプリンスリーグ東北は8位残留。優勝した青森山田高セカンドや2位の山形ユースを無得点に封じて黒星をつけている。山田監督が「この(尚志戦)ためのスパーリングだった」という戦いで磨いた堅守で、尚志にも対抗。押し込まれ、局面を崩されかけるシーンは多かったものの、チャレンジ&カバーを徹底してボールを奪い切っていた。

 また、GK佐々木悠斗(3年)の勇気ある飛び出しも合わせて前半は無失点。だが、小幡は後半立ち上がりの失点を残念がっていた。クロスのこぼれ球が相手のエースFW染野唯月(3年、鹿島内定)の前に転がり、それをループシュートで決められてしまった。「そこは自分たちの甘さ。相手のエースがいいところにいたので、そこは違いだった」(小幡)。

 警戒していた染野に決められる形で失点。エースFW前川龍之助(3年)やFW杉崎凪流(3年)を中心としたカウンターや小幡のプレースキックなどから反撃したが、尚志の集中した守りを破ることができなかった。

 無念の準優勝。それでも、小幡は「ピッチの中で全て出しきったので悔いはないです」と前を向く。そして、チームメートに対しては「最初は個性が強くてまとめるのが大変だったんですけれども、最後はチームになって、自分も結構仲間に助けられた部分があったので良いチームだったと思います」と感謝していた。

 福島を突破して全国大会に出場するためにはプレミアリーグ勢の尚志を倒さなければならない。山田監督は「これを乗り越えていかないと。強くなっていかないといけない」。指揮官が指摘したのは競争力向上の必要性。この日、前線で武器を発揮していた前川や杉崎のような選手が他にも台頭してくるようなチームになっていかなければ、プロ注目の選手が下級生にもいる尚志に対抗、勝利することはできない。

 先発11人を占めた3年生が卒業し、来年は新しいチームで挑戦することになる。プリンスリーグの厳しい戦いの中で個人、チームをレベルアップさせること。小幡は後輩たちへ向けて「良いチームづくりを目指しててっぺんを獲って欲しいと思います。出ている11人だけじゃ絶対に勝てないので、メンバー外の人も含めて一体感だったり、良いチームづくりをしていけば絶対にてっぺんは獲れる」とエールを送った。この日、先輩たちの奮闘、涙を見た1、2年生たちは大きな壁を乗り越えるために、ライバル以上の意識高い日常を送って、必ず勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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