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“兄の涙”で再認識した家族の支え…初の選手権に臨む大手前高松FW片上椋太

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大手前高松高(香川)FW片上椋太(3年)(写真協力=高校サッカー年鑑)

 初の大舞台に臨む。全国初戦の対戦相手も決まった。大手前高松高(香川)FW片上椋太(3年)は、“夢舞台”に立つ瞬間を待ちわびている。

 9日に行われた香川県予選決勝。前半をスコアレスで折り返した後半12分に生まれた得点を守り抜き、1-0の勝利を収めた大手前高松は初の選手権出場を決めた。ようやくたどり着いた舞台。優勝が決まった瞬間、「嬉しいのはもちろん嬉しいけど、実感があまりなかった」ようだが、あれから数日が過ぎ「全国に向けての監督の話を聞き、やっと自分たちは全国に行くんだという意思を持って練習に取り組めている」と充実した日々を過ごしている。

 選手権初戦の相手は2年ぶり6度目の出場を果たした帝京大可児高(岐阜)。「今まで戦ってきたサッカーでは勝つ確率が低い相手になってくると思うので、1か月半のトレーニングで、もう少し自分たちが勝てる可能性を上げていきたい」と、限られた時間でのさらなる成長を誓う。

 中学生時代から高校選手権は憧れの舞台だった――。第94回全国高校サッカー選手権大会には高松南に在学していた兄が出場。「応援しに行った」と全国で戦う兄の姿を見て、大きな刺激を受けた。

 高校選手権を目指して大手前高松高に進学するが、1、2年時には香川県予選を突破することができず。全国出場経験のある兄からは「色々と言われた(笑)」ようだが、最上級生となってついに選手権へとたどり着いた。「本当かどうかは分からないけど」と前置きしつつ、弟が選手権出場を決めると、兄は「泣いてくれた」ようだ。その話を聞いて感じたのは、兄だけでなく、家族に支えられていたということだった。

「陰ながら応援してくれていたのかなと思うと、すごくありがたいですね。家族も、当たり前のことが負担になっていると思う。それを3年間やってくれたことに対し、家族に対して感謝しています」

 全国の猛者を相手に立ち向かうことになる。「新しいことはせずに、自分たちが1年間、そして、僕たち3年生は3年間積み上げてきたものを、選手権で出したい」と3年間の思いをぶつけるつもりだ。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2019

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