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“歴史的惨敗”を仔細に振り返ったMF柴崎岳「全責任は僕にある」

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日本代表MF柴崎岳(デポルティボ)

[11.19 キリンチャレンジ杯 日本1-4ベネズエラ パナスタ]

 日本代表MF柴崎岳(デポルティボ)は前半の4失点が響いて敗れたキリンチャレンジカップ・ベネズエラ戦の試合後、ピッチ内で起きた事象を仔細に振り返った。その上で「うまくいかなかったという現実を受け止めて、3月にはまた代表戦があるのでそれまでにチームとして成長したい」と先を見据えた。

 FIFAランキング26位のベネズエラをホームに迎えた一戦。相手は来年3月の南米予選前ラストゲームということで本気のメンバー構成で乗り込んできた一方、日本はDF吉田麻也(サウサンプトン)やFW南野拓実(ザルツブルク)ら主力陣を帯同させず、新戦力の発掘に力点を置いて試合に臨んだ。

 そうした中、前半8分にサイドを個人技で破られ、クロス攻撃から先制点を献上した日本。そこからはカウンターで好機をつくる場面もあったが、同30分から立て続けに失点を喫して一気に0-4というスコアとなった。前半4失点は1954年以来、なんと65年ぶりの記録的な惨劇だ。

 この日、吉田不在のため代わりにキャプテンマークを巻いてピッチに立った柴崎はこの連続失点を次のように振り返った。

「基本的に全てのゴールがクロスからの対応だったので、まずはクロスというところにフォーカスすると、人にもつけていない状態だったし、簡単に高精度のボールを上げられる距離感を作られてしまったのはある。あとは奪われ方の部分。あそこまで持って行かれる奪われ方、また奪われたとしてもリアクションが一歩二歩遅くて後手を踏み、そこでゴール前に持って行かれてクロスの対応になった。守備の距離感が全体的に遠かった」。

 とはいえ、同じようにサイドを崩される形で奪われた4失点。試合が決まってしまうまでに修正はできなかったのか。

「1失点目の後からクロスを上げる選手に対してあまりにも距離が開いていて、クロスボールを上げられているという指摘はお互いにあった。指摘や声かけはしていたが、無意識のうちにズルズルと下がって守備をしてしまう部分があった。いくら意識していても、無意識は見えないところからやってくる。より強く思わないといけないというか、それをするのは個人のところ。チームがいくら声かけしても、やるのは個人なのでそこに少し差があった」。

 そうして0-4で迎えたハーフタイム、森保一監督は「1点ずつしか取れないが、1点でも追いつくことを考えて、最後まで戦おう」と選手たちを鼓舞したという。そして選手間でも「声を荒げたりしてもしょうがないし、まずは冷静になぜこうなっているかを話し合って修正しようということで、建設的な話し合いをして後半に臨むことができた」(柴崎)。

 その結果、後半は相手のペースが落ちたこともあり、試合の形勢を引き戻した日本。さらにMF山口蛍(神戸)のゴールで1点を返すことにも成功した。「後半のほうがアグレッシブに行けていたという見方をしている」と振り返った柴崎は「クロスを上げる選手のプレッシャーにも行けていたし、横にプレーさせたり、バックパスさせる守備ができていた」と手応えも語った。

 すると、やはりこの一戦の課題は前半の試合運びということになる。もっとも、それはこの試合に限った話ではない。アジア杯決勝のカタール戦(●1-3)でも前半の連続失点が敗戦につながり、直近のカタールW杯アジア2次予選のタジキスタン戦(○3-0)、キルギス戦(○2-0)でも序盤に立て続けにピンチを招くなど、森保ジャパンにおいては継続的に見られる課題だ。

 それらの試合で共通していた点の一つとしては、相手がアンカーを置くシステムを採用してきたのに対し、日本の前線からのプレスがうまくハマらなくなった瞬間、各選手の裏のスペースを突かれて崩されているという流れが挙げられる。そうした時の対処法は各選手でも共有しているというが、難しい現状もあると柴崎は語る。

「各々こうなったらこうしようという共有はできているけど、僕たちが前からボールを取りたくても相手が上回ることももちろんある。そういったときは中盤でのブロックを取りながらむやみに行かず、距離感をコンパクトにしながらということもある。もちろんそれは試合展開によるし、0-2とか0-3になってしまうと心理状態も個々人で違うこともある。そこを統一するのは簡単なことではない」。

「まず個人として言えるのは、そういうところの共有は試合前を含めてしっかりできていた。それでも予想外というか、相手がビルドアップのうまさが成熟している部分もあったということ。ただそういうところで取り切れない時に、僕のところでもうちょっと前線の選手をうまく動かせる指示ができれば良かった」。

 この日はキャプテンとしてピッチに立った柴崎。また森保ジャパンにおけるボランチは攻守の要になるポジションだということもあり、ピッチ内の修正においては自身が周りをオーガナイズするべきだという責任も受け止めた。

「(ピッチ内の修正に対する)全責任は僕にあると思う。他に責任があるとも思わないし、振り返って試合を見てみないとわかり得ないこともあるので細かいことは言えないが、そこの責任というか、うまくできていなかったというのはある。試合後にもそういったことを永嗣さん(GK川島永嗣)とも話した。そこは真摯に受け止めたい」。

 ハーフタイムと試合後には、日本代表戦では異例のブーイングが監督、選手たちに向けられた。「当然ですよね。サポーターの皆さんもこういった試合を見に来ているわけじゃないし、当然の反応だと思う。言い訳をせずに真摯に受け止めるべき現状だと思う」。敗責を背負い、現実と向き合う背番号7は今後に向けてチーム全体の巻き返しを期する。

「いつも出ている選手との比較をすると、ボールへのプレッシャーのかけ方、距離感とかが、いつもより一歩二歩遠いという印象はあったので、まだまだ代表での試合がこなせていない選手にとっては改善すべきものかなと思う。それができた時に大きな力になっていくと思う」。

 厳しい言い方をしつつも、今後に向けた期待を語った柴崎。「試合に絡めていない選手からすると刺激になる一戦だったと思う。こういったベネズエラのようないいチームと、トップのリーグでやっている選手もいるし、そういう選手のプレーは見ていてもわからないので、肌で感じて、実際にやってみてというところが大きかったと思う。それは成長するための材料になる」。この敗戦を未来への糧とみるか、森保ジャパンの限界とみるかは今後の戦いに委ねられる。

(取材・文 竹内達也)
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