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[MOM653]立正大DF半田尚之(3年)_全国出場への完封勝利は“あのとき”のフクアリで

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立正大MF半田尚之(3年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 関東大学サッカー1部第21節 立正大1-0中央大 フクアリ]

 1部初挑戦にして全日本大学選手権(インカレ)の初出場も掴んでみせた立正大。勢いに乗った攻撃力もさることながら、堅守が奏功して3試合連続の完封を達成した。MF半田尚之(3年=市立船橋高)は本職のボランチではなく、3バックのセンターとして躍動を見せている。

 立正大は前半10分、FW人見拓哉(4年=矢板中央高)の得点ランク単独トップとなる今季16点目で先制に成功。その後は反撃を狙いながら、中央大の攻撃に耐える時間が続いていく。細かいパスは通されるものの、半田を中心とした守備はほとんど崩されず。両サイドハーフも下がり、5バックとなった守備陣から中大も決定機をつくれないまま試合は終了。立正大が完封勝利を達成した。

 立正大はすでに前日の他会場の結果でインカレ出場圏内が確定しており、「モチベーション的には難しかった」(半田)。しかしインカレ出場を気持ちよく祝うため、そして全国でさらなる高みを目指すために「しっかり気持ちをつくって臨めたのでいつも通り立正大のサッカーができた」と1年で培った実力と自信を発揮した。

 10月の4試合は泥沼の4連敗。守備の要である主将・DF中塩大貴(4年=浦和ユース/甲府内定)が調子を落として出場機会を減らす中、半田がその位置に入ることになる。「いつチャンスが来てもいいように日々の練習はやっていた」(半田)と第19節・駒澤大戦(○5-0)で5試合ぶりの完封を達成。さらに第20節・流通経済大戦(○1-0)、そして今節も1-0と3試合連続で無失点を継続させた。

 杉田守監督も「日頃の練習からとにかくしっかり準備をしていて、スタメンで出ても途中から出ても安定したプレーをやってくれていた」と半田の努力を認識。「そういう意味ではキャプテンの代わりに(3バックの)真ん中をやれたのも、本人としてはしっかり準備ができていたのではないかな」と評価していた。

 出身高校は名門・市立船橋高。同期には杉岡大暉(湘南)、原輝綺(鳥栖)、高宇洋(山口)、金子大毅(湘南)と東京五輪世代としてJリーグで活躍する面々が揃う。「構想外も構想外でしたよ」と振り返るように、本職であるボランチのポジションは奪うことができなかった。

 半田の最終学年である2016年度の高校選手権で、市船は1回戦・京都橘戦(○1-0)、2回戦・前橋育英戦(●0-0/PK3-5)と名勝負を繰り広げた。2試合の会場は奇しくもこの日行われたフクダ電子アリーナ。当時は応援する立場だった半田は「感慨深いですよね」としみじみとスタンドを見返した。

 1部リーグに所属する大学に進学できなかった半田は、2部昇格を果たした立正大に進学する。チームの勢いは留まらずに半田の2年時に1部初昇格を達成。1部初挑戦の3年時では、アミノバイタル杯準優勝を果たし、総理大臣杯でも準々決勝まで進んだ。そして年間を通した戦いであるリーグ戦で3位まで到達し、シーズン最後の大舞台であるインカレへの挑戦権も掴んでみせた。

 大舞台への挑戦について「嬉しいですね。特別感があるし、楽しみです」とまだ実感なさげに語る。「チームとしては優勝を目指したい。でも個人としては今季明治大と3回やって全部負けているので、明治とやって勝つというのはひとつ目標ですね」。今度は主力として登り詰めた冬の全国大会で、着実に成長してきた証を見せていく。

(取材・文 石川祐介)
●第93回関東大学L特集

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