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ユース版大阪ダービーは痛み分け。残留争い続くC大阪U-18は「グッと飛躍」するためのきっかけを

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[11.23 高円宮プレミアリーグWEST第16節 G大阪ユース 1-1 C大阪 C大阪舞洲グラウンド]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2019WESTは23日に第16節を行い、8位のセレッソ大阪U-18(大阪)と2位のガンバ大阪ユース(大阪)による大阪ダービーは、1-1で引き分けた。

 優勝争いを繰り広げるG大阪に対し、C大阪は第11節の広島ユース戦以降、白星から見放され残留争いの真っただ中。両者の立場は違ってもダービーにかける想いは同じで、C大阪のMF岡澤昂星(1年)は「サポーターの気合が入っているのが伝わった。絶対に負けられないので気持ちを込めて戦おうと思っていた」と振り返る。

 意気揚々と試合に挑んだC大阪だったが、前半はMF食野壮磨(3年)を中心に素早いパス回しを見せたG大阪の攻撃に苦戦した。自らも自陣から攻撃を組み立てようと試みたが、U-23への出場が続き、今節が初出場となったDF西尾隆矢(3年)や右SBの吉馴空矢(3年)が試合2日前の合流となったため、上手くボールを受けられない場面が続いた。

 攻撃のリズムが作れないまま試合が進むと、前半26分にはG大阪にDF裏へスルーパスを通され、FW大谷優斗(3年)のパスからMF久保勇大(3年)に先制点を献上。こちらは失点には至らなかったものの、36分にもビルドアップのミスから肝を冷やす場面もあった。

「絶対に勝ちが欲しかった」(MF奥村仁、3年)C大阪は後半に入り、前からの守備を徹底すると共にビルドアップを修正。最終ラインでのボール回しから、右の吉馴や左のMF西村真祈(3年)が縦への突破を増やすと、空いた中央のスペースを上手く突きながら相手エリアに仕掛けた。

 後半5分には左CKのこぼれ球をFW新保海鈴(2年)が押し込み同点にすると、31分には右サイドを抜けた新保のクロスから再び決定機。途中出場のFW小河詩朋(1年)がファーから飛び込んで合わせたが、枠を捉えられず。1-1でタイムアップを迎え、奥村は「逆転しきれないのが自分たちの課題」と唇を噛んだ。

 初年度からプレミアリーグに在籍し、14年にはチャンピオンシップも制したC大阪だが、今季は黒星が先行し、残留争いに巻き込まれた。開幕からU-23でプレーする選手が多く、メンバーは1、2年生が中心。「常に選手が入れ替わり、練習を一緒にできていない選手とぶっつけ本番で試合に挑む試合が多い」(奥村)ことが苦戦の原因だ。数少ない3年生であり、主将としてチームを引っ張る奥村は「チームを勝たせるために頑張ろうという想いは強いけど、どこのポジションをやってもチームを勝たせるプレーができていない」と悔しさを打ち明ける。

 U-23でプレーする選手がいる分、チャンスを得た下級生が経験を積み、逞しさを積んでいるのも事実。この日は後半から持ち味の守備でリズムを引き寄せた岡澤や同点ゴールを奪った新保などは、その代表格だ。「選手たちは本当に必死に頑張ってくれている。彼らの姿を見ていると胸を熱くなり、勝たせてあげられない自分が情けない」と口にする海本慶治監督はこう続ける。「1、2年生は成長しているけど、目の見える結果が出ない。自信が成長に拍車をかける部分があるので苦しんでいますが、苦しんだ分、きっかけを得た時にはグッと飛躍できるんじゃないかと思っています」。

 台風の影響で延期となった第15節の神戸U-18戦も含め、3試合残っているため巻き返しのチャンスは十分ある。「まずは勝ち点3が欲しいけど、勝ち点3の試合を1にしないとか、勝ち点1の試合をゼロにしないとか状況に応じたプレーを徹底して何とか残留したい」と意気込む奥村を中心に、C大阪は最後まで粘り強く戦い白星と残留を掴み取るつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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