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選手権まであと1勝。FW西川潤がこだわる結果と「爆発力」

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悪コンディションの中で「爆発力」を示した桐光学園高FW西川潤主将

[11.23 選手権神奈川県予選準決勝 桐光学園高 3-1 平塚学園高 相模原ギオン]
 
「獲りたいです」

 今年、U-20とU-17のワールドカップに出場。特にU-17ワールドカップでは欧州王者のオランダやセネガル相手にインパクト十分の活躍をしてのけた。また、今年は内定しているC大阪でJ1デビュー。加えて、所属する桐光学園高をインターハイで日本一に導いた。

 他の高体連所属選手と比較しても今年、FW西川潤(3年)が残している実績は群を抜く。その注目レフティーにとっても、選手権のタイトルは特別だ。その野心を強く持っていることを素直に認め、チームメートとともに最後の大会で最高の結果を残すことを誓った。

 10月、11月は日本との時差が12時間もあるブラジルでU-17ワールドカップに出場。11月6日の決勝トーナメント1回戦で敗れて帰国した後、2日間のオフを取って桐光学園のトレーニングに合流した。それから、わずかな準備期間で迎えた選手権予選初戦。「(早く選手権予選を戦いたくて)うずうずしていたのがありました」という西川の存在感は抜群だった。

 これまでの試合同様、常に相手DFから監視されているような状況。その中で背番号10は1タッチのパスを多く活用していた。雨中で精度を欠いた部分があったことも確か。だが、その技術で味方が前向きにボールを持つ状況を作り出していた。

 そして、パワーを掛けた際の突破が何より際立っていた。ファウル覚悟で止めようとするDFを強引に振り切るようにして前進するシーンが3度4度。前半32分に生まれた先制点は、西川の爆発的な仕掛けで得たFKから生まれたものだった。

 なかなかリードを奪えない中、自分で仕留めに行った西川を平塚学園高DFはファウルで止めるしかなかった。この日の西川は、相手DFの重心の逆を取る形でのテクニカルな突破も見せていたが、雨中で段違いの馬力やスピードも発揮し、DF網をこじ開けていたことも印象的。その際の「爆発力」がこれまでと比べて増しているように映った。

「量よりも質というか、(仕掛ける)回数は減ったかもしれないですけれども、そこの『爆発力』は自分なりにこだわってやっていきたい」と西川。昨年のインターハイで5人抜きからのスーパーゴールを決めたように、彼の突破力は下級生時から折り紙付きだ。だが、昨年よりもマークが厳しくなった今年は繰り返しドリブル突破を図るよりも、力の掛けどころを見極めながらプレー。この日は、こだわってきた「爆発力」が得点に繋がった。

 西川は後半22分に左足FKでCB奈良坂巧(2年)のゴールをアシスト。ドリブルからのシュートがわずかに枠を外れるなど無得点に終わったものの、注目選手は存在感を発揮して勝利に貢献した。

 一週間後の神奈川県予選決勝戦、またそれを突破した際に迎える全国大会では、よりレベルの高いDFたちから厳しいマークを受けることになるだろう。それでも、西川は「(対戦相手が厳しくマークに)来る中で、そこでも結果を出すことが大事だと思いますし、もっとこだわっていきたい」と強調。選手権の有力な主役候補は結果と「爆発力」にこだわり、それを表現して最大目標のタイトルも必ず「獲る」。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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