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横浜FM松原「あえて外に開くことで…」自在な“立ち位置”で先制起点に

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決勝点が入って喜ぶ横浜F・マリノスの選手たち

[11.23 J1第32節 松本0-1横浜FM サンアル]

 相手の一つ先を行くポジショニングで電光石火の決勝点を導いた。横浜F・マリノスDF松原健は前半2分、相手の守備ブロックの右外でボールを受けると、右サイドに開いたFW仲川輝人にグラウンダーパスで素早く展開。これを起点に仲川のドリブル突破がスタートし、試合の形勢を決定づける先制ゴールにつながった。

 対戦相手の松本はこの日、3-3-2-2(3-1-4-2)の布陣を採用。直近の試合でも継続しているシステムであるうえ、横浜FMの強みと言える中盤3枚を5枚で囲い込みつつ余った選手で周囲をケアできるため、守備面の相性も悪くないフォーメーションだ。もっとも、サイドに避ける人員が少ないため、横浜FMにとってはフリーになるサイドバックが鍵になる。

 そこで躍動したのが右サイドバックの松原だった。

「真ん中に3枚いるということで、いつもはサイドハーフを相手にして出方をうかがいながら中に入ったり外に入ったりするけど、中に人数をかけてきた時は、僕が中に入るよりあえて外に開くことで喜田やマルコスに真ん中のスペースを使わせたほうが効果的なので、そういうポジションを取った」。

 通常、横浜FMのビルドアップでは反対サイドにボールがある際、サイドバックはピッチの中央付近まで入ってパスを待つのが通例。しかし、松原は前半2分のシーンであえて相手のブロック内には入り込まず、DF畠中槙之輔からの横パスを受け取った。中盤選手の駆け引きもあり、松本のスライドは間に合わず、スムーズに仲川へと展開できていた。

 こうした「中に入るか、外に開くか」といった立ち位置の駆け引きは、今季の横浜FMが地道に積み上げてきた成果だ。左サイドバックのDFティーラトンをはじめ、現在は控えのDF広瀬陸斗、DF和田拓也らも試行錯誤。松原も「そればかりしていると相手が張ってくるので、うまくキー坊(MF喜田拓也)とポジションを入れ替わりながら」という狙いも語るなど、相手の出方次第で判断を変えられるほどに洗練されたものとなっている。

 前半17分にも同様の形で松原がボールを受け、相手の内側のスペースを突くスルーパスを仲川に配給。「あれは常に狙っているところ。試合を重ねるにつれて相手がそこに対策を練ってくる中でも、ああいうのを通せて良かった」。得点には繋がらなかったものの、局面での駆け引きを経ながら狙いどおりのシチュエーションを作れたワンシーンだった。

 もっとも「ただ後半になってそういうボールを狙いすぎて引っかかる場面もあったので、そういうバリエーションを増やせればいい」と課題も語るなど、向上の余地はまだまだある様子。そうした前向きな姿勢は7試合連続でフル出場を果たし、首位奪取に至った好調のさなかにあっても変わりはない。

「まずは今日の試合で勝ち点3を取れて無失点で抑えられたことをチームとしてポジティブに捉えたい。これはこれで今日の喜びは終えて、次の川崎F戦に向けて全員で準備したい」。自力優勝の権利をしっかりと手にして臨む残り2試合。シーズン中盤の出場機会減から蘇った背番号27は積み上げてきたものを表現し続ける。

(取材・文 竹内達也)
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