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大黒投入でスイッチオン! “奇跡の残留”に涙の田坂監督「苦しかったです」

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涙を見せた栃木SCの田坂和昭監督

[11.24 J2第42節 千葉0-1栃木 フクアリ]

 4試合を残した約半月前の時点では、J2残留圏内と勝ち点7差のビハインド。絶望的な窮地に立っていた栃木SCが最後の最後で奇跡を起こした。新潟、大宮、長崎、千葉と続いた厳しい連戦で奪った勝ち点は『10』。最後は他会場で敗れた鹿児島を得失点差でなんとかかわし、クラブ史上2度目のJ3降格を免れた。

「総括というより、勝てて本当に良かった。この試合にあたっては、何とか勝って結果を待つしかない。人事を尽くして天命を待つんだという話をしたし、『天命』とは天からの命令じゃないぞ。天からの運をもらうということだと。その運をもらうためには何ができるか、まずは勝つことだと」。

 試合後、そう振り返った田坂和昭監督の目には光るものが見られた。公式会見で思いを問われて「汗です!」と力強く宣言したものの、「苦しかったです、本当に今シーズンは……」と声色の湿り気は隠せない。「『ター坊頑張れ』と言ってくれる人がいて、何とか頑張れました」と苦しかったシーズンを回顧した。

 今季の中盤までは高い技術を持つ若手選手を重用し、ボールを主体的に動かすスタイルに挑戦したが機能せず。残り10試合となった第33節の鹿児島戦で、ボランチのMFへニキを最前線で起用するなどの大胆な策に打って出た。その一戦の勝利を最後に5試合未勝利と停滞した時期もあったが、最後は3勝1分の好成績で奇跡的な残留劇を演出した。

 当初は積み上げてきた戦術を放棄する決断に、選手たちの反感もあったという。「納得のいかない選手もかなりいた。これはサッカーじゃないと。でも勝たなきゃいけない。最初はかなり小さな集団だった。35〜36人の選手がいるが、最初は10人くらいしかやらなかった。ただ、その小さな輪を大きくしていった。いまではほとんどの選手がこのサッカーを純粋にやり始めた」。

 そうした一体感の象徴が、最終節に向けたトレーニングだった。サブ組の選手たちが千葉のビルドアップを学習し、ゲーム形式の練習では『仮想千葉』として先発組の前に君臨。そんな取り組みの成果もあり、この日は試合序盤こそ攻め込まれる時間帯が続いたものの、徐々に前線からのプレスがハマるようになり、前半途中からはほぼ一方的に千葉の攻撃を防ぎ切った。

「ボールの動かされることは想定していた」。そう振り返った田坂監督は「実際に選手同士でやってくれてシミュレーションできていた。サブチームが非常によく、チームのためを思ってサポートしてくれた。チーム一丸となって取れた勝利だった」と指摘。この日、フクダ電子アリーナにも総出で訪れていた控え選手たちを称えた。

 そうした守備で我慢した末に、後半26分には虎の子の1点をもぎ取った。「ターニングポイントは大黒(FW大黒将志)を入れたところ」。そう明かした田坂監督はJ2通算108ゴールの実績を持つストライカーの「彼には本意じゃないかもしれないけど…」というジョーカー起用の意図を次のように説明した。

「守備では先発がある程度組織だった守備をできていた。ただ攻撃に転換した時に収まりどころがなかった。後半もこのペースだと、いつか果てるなと。だからオグリ(大黒)をどこかで入れれば点が取れると見計らっていた。そろそろだな……というところは長年の勘です。ここだと思ったところで行こうと」。結果、投入から2分後に先制点が入った。

 勝利を告げるホイッスルが鳴った後は順位を争っていた19位の町田、20位の鹿児島の結果を待つ形となった。試合を終えて数分間「電波がつながらないといって、全く結果がこなかった」というアクシデントもあったが、サポーターが喜びを爆発させたのを見て奇跡的な残留を実感。「県民の歌を歌っている時の姿が脳裏に焼き付いている」と共に感慨に浸った。

「できることを一生懸命やって、勝つためのサッカーをしたというだけであって、誇れる技術はない。ただ、スポーツは一丸となって戦うと結果が出る。苦しいシーズンだったけど、選手が頑張ってくれた。選手に感謝します。サポーターにも感謝します。スポンサーにも感謝します。また僕の周りの人にも感謝したい。励ましの言葉、サポートの言葉、いろいろ言ってくださって感謝しています」。

 この一戦をそう振り返った指揮官は来季に向け、クラブが変わる必要性も指摘した。「今季味わった経験、栃木SCの財産にしないといけない。これが起きないように、違う方向に持っていけるように考えないといけない。変えていく勇気、気持ちを持っていかなければ変わらない。自分は現状維持は衰退だと思っているので、新しい変化を経験しないといけない」。来季も継続して指揮するかは未定。しかし、降格争いを繰り返すつもりはない。

(取材・文 竹内達也)
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