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[MOM3074]流通経済大柏FW三好麟大(2年)_先輩・大前のように。”小さなFW”が躍動

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後半16分、流通経済大柏高FW三好麟大が右足でゴールを破る

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.27 選手権千葉県予選準決勝 翔凜高 0-3 流通経済大柏高 柏の葉]

 流通経済大柏高の名将・本田裕一郎監督は、試合後に記者からFW三好麟大(2年)について質問をされると、顔をほころばせていた。「三好が頑張ると嬉しい。サッカー選手で小さい子はいっぱいいる。ああいう子を見ると元気が出るでしょう?」。三好の身長は163cm。両チームの先発メンバーで最も小柄だ。そのFWが前線で運動量多くプレーし、華麗なゴールも決めた。

 2トップの一角として先発した三好は、前線からの献身的なプレッシングに加え、コンビネーションによる崩しにもチャレンジ。前半25分と後半開始直後には右サイドのスペースを突く動きから決定的なラストパスを通した。

 そして、2-0となった直後の後半16分、後方からのパスを1タッチで右サイドへ展開。そして、右SB田口空我(1年)からの折り返しをバイタルエリアで受けると、わずかに左への動きを入れてからのターンで前後にいたDF2人を置き去りにする。最後は右足シュートをゴール左隅に突き刺した。

 その後も1タッチのラストパスやDFを引きつけながらスルーして味方を活用するなど、チャンスに絡んで勝利に貢献した。1年時からチャンスを得てきたが、これまでなかなか先発に定着することができず。今大会も準々決勝の八千代高戦は前半のみのプレーだったが、この日は悔しさもぶつける形で元気に走り回り、勝利に貢献した。

 憧れは流経大柏OBのFW大前元紀(現大宮)だ。大前は高校3年時、身長160cm台と小柄ながらインターハイ、全日本ユース(U-18)選手権、高校選手権で得点王を獲得。全日本ユース選手権と高校選手権ではチームを日本一へ導いている。

「自分、大前元紀さんに憧れというか、凄いと思っていて、ああいう点を獲れる選手になれれば。もっと注目される選手になりたい」という。謙虚な口調で目標を語るFWはここへ来て、結果を出すことへの意識が高まってきている。

「これまではチームのためにとか思っていたんですけれども、最近は自分が結果を出してチームを勝たせられれば良いと思っています」。同じ2年生FWでエース格の森山一斗が負傷離脱中で間もなく復帰。プレミアリーグEASTでチームトップの9得点を叩き出している森山から刺激を受けていた三好が、結果でもエース不在の穴を埋めようとしている。

 ライバルの全国出場も森山を奮い立たせている。興國高(大阪)の2年生エースで18年U-16日本代表のFW樺山諒乃介が選手権大阪府予選決勝でゴールを決めるなど同校の全国初出場に貢献。森山にとって樺山は大阪の街クラブ・RIP ACEジュニアユース時代のチームメートで、現在も彼のプレー動画を見たり、試合後に連絡を取り合っている仲だ。2年連続全国2位の名門・流経大柏の欠かせない存在なって、大阪の新興勢力のエースとして出場する樺山と全国で戦いたいという思いがある。

「樺山は中学時代からライバルであり、チームメートとしてやって来ているので戦いたいですけれども、自分らが出ないと戦えないので」。そのためにも必ず千葉県予選決勝で勝つこと。「今日は自分の中でも調子が良くて、動き出しとかも活発にできたのでもっと決勝でも頑張りたい」。名門で抜群のセンスに力強さなどを少しずつ加えてきた2年生アタッカーが、市立船橋高との決勝でも結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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