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「代表への思いがないわけではない」。創設3年でブラサカリーグ戦の頂点に導いた鳥居の気になる今後

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鳥居健人のボールを奪いにいく菊島宙(右)。この後、決勝ゴールが生まれた

[12.1 ブラサカ東日本リーグ第7節 free bird mejirodai 2-1 埼玉T.Wings](文京区小石川運動場)

 2016年9月に発足後、3シーズン目でブラインドサッカーの東日本リーグの頂点に立ったfree bird mejirodai は1日の埼玉T.wings戦で、過去4戦24ゴールをあげていた菊島宙を組織的な守備で抑え、28歳のエース、鳥居健人が2ゴールを決めた。

「7月の日本選手権で埼玉T.Wingsに1-7で負けて悔しい思いをして、その相手と戦えることで、めちゃくちゃ気合が入りました。個人個人がやるべきことをやれて、(菊島宙を意識した)守備中心の戦術も当たり、点にからめるのはトータル40分で2~3回あるかないかだと思っていた。2点目の場面は、ガイド以外の声が聞こえなくなった。身体が勝手に動いた。ちょっと作ったような表現になりますが、本当にそんな感じでした」

 右サイドをゆっくり駆け上がり、相手のエース菊島を自分に食いつかせる。厳しいマークを受けながらもうまくかわして中央に切れ込み、相手の守備のギャップをつきながら左足で一閃。決勝ゴールがネットに突き刺さった。

「宙ちゃんは強くなっている。(男の)僕とかが対峙しても倒れない。普段は仲良くさせてもらっているので対戦していて楽しかった」

 鳥居はこの日の2得点でリーグ戦で8得点。菊島の25点には及ばないが、日本代表のエース、川村怜よりも1点上回った。代表の主力にいてもおかしくない実力の持ち主だが、2016年に高田敏志監督から声をかけられた時は丁重に断りを入れた。

「(鳥居と同じ28歳の)今のチームの監督(山本夏幹氏)とのかかわりの中で、立ち上げたチームですから。free bird mejirodaiが発足したばかりで、まずはチームとして軌道にのせることに専念したかったんです」

 しかし今回チームを優勝に導き、若手のホープとして期待される16歳の園部優月も日本代表に定着しつつある。鳥居が最初に断りをいれたときより、明らかにチームは軌道に乗ってきている。その状況を踏まえて、代表への思いを率直に語った。

「今は代表への思いはないわけではありません。周囲に期待していただけるのもありがたいですが、チーム(free bird mejirodai)との兼ね合いもある。日本代表は自分の中でしっかり覚悟が決まらない以上、中途半端な気持ちでは行ってはいけない」

かつて14歳で日本代表に選ばれ、国際大会にも出場した経験がある。鳥居は日の丸の重みを十分に知っているだけに、簡単に「行きたい」と言えない場所なのだ。

 一方で、現在の日本代表は川村怜や黒田智成ら主力5人とそれ以外の選手の力が近づいているとはいえ、まだ差がある。そのことによって、主力選手がピッチに立つ時間が他国より長く、勝負どころで一瞬、集中力が乱れた隙をつかれてやられるケースが多い。鳥居が現在の日本代表の戦術さえ覚えれば、ピッチの内外で「時間を作れる」選手になるはず。高田敏志監督、鳥居本人の気持ちとは別のところで、代表入りを望むことは決して罪にはならないはずだ。

(取材・文 林健太郎)

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