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ブラサカ日本代表が年内最終戦で守備崩壊 再建のキーマンに浮上した女子選手

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悔し涙を浮かべた佐藤大介(右)と加藤健人

[ブラインドサッカーチャレンジカップ 日本代表1-5モロッコ代表](8日、町田市立体育館)
 ブラインドサッカー日本代表がアフリカ選手権王者のモロッコ代表に今季ワースト失点で1-5で敗れた。高田敏志監督の就任以来、5失点したのは2016年6月3日、敵地で戦ったブラジル戦(●0-5)以来、3年6か月ぶり。前半3分、相手の主将、アブデラザク・ハッタブに同点弾を奪われたのを皮切りに4ゴールを奪われる完敗。高田監督は気持ちが沈む中で、冷静に言葉を選んだ。

「悲観は……しています。ちょっとずついいサッカーができるようになって強いチームをいい勝負ができるようになって、ちょっと油断があった。フィジカルが強い相手に戦わずして勝とうとしたことが一番納得できない。そういう状況を作ってしまったのは僕の責任です」

 今年は、来年のパラリンピックに出場する8か国のうち、フランス以外の国とはすべて対戦。日本は出場8か国中、世界ランク13位と一番低いが、それでも今年は3位の中国に引き分け、5位のスペインには勝った。約1か月前の11月4日、世界ランク1位のアルゼンチンにも、エース黒田智成や佐々木ロベルト泉が不在の中、0-1と善戦。実力は上がっている、との手ごたえをつかみかけていただけに、ショックは大きかった。

 この日の5失点中、4失点は主将のアブデラザク・ハッタブ。幼少期から目が悪かったが、少年時代は健常者に交じってサッカーをするなど認知能力が高い。ブラインドサッカー特有の足元でボールを動かすドリブルだけでなく、健常者同様、ボールを一時的に足元から離しながら前に出るドリブルも持ち合わせ、日本の選手は対応が後手後手に回った。試合後、悔しさで目に涙をためたGK佐藤大介が振り返る。

「今までとは違う感覚が選手にはあったと思う。(フィールドプレーの)選手に聞いても『(一度は動きを)捕まえているけど速い』と戸惑っていましたから。ただ、失点の1点目も2点目は僕自身、もう一段階早く準備していれば防げたかなと思う。ほかの選手には申し訳ないです」

6月の日本選手権。川村怜は菊島宙(手前)からボール奪取に苦労

 主将の川村怜も「ボールを認知してシュートまでもっていく能力は、世界を見渡してもあそこまでの選手はなかなかいない」と驚くハッタブについて、パラリンピックでもその活躍を指を加えて見るしかないのか。いや、そんなことはない。それは日本国内にきわめて似ている選手がいるからだ。それは1日に終えた東日本リーグで5試合で断トツの25得点をあげて得点王に輝いた女子日本代表の菊島宙だ。

 報道陣から「菊島選手をトレーニングパートナーとして呼んで練習する気持ちはないのか」と質問が飛ぶと、高田監督はこう答えた。

「実際に合宿に来てもらったことはあるけど、女子の代表選手なので(現時点では)僕に(招集する)権限はない。でも来てもらえるなら一緒にやって鍛えてもらうことがあってもいい。モロッコとは本番でも戦う可能性はある。(本番で)『今日の試合がいい経験だった』と言えるように、これからやっていきたい」

 パラリンピック本番にむけて、協会内部でもカレンダーをより代表強化にシフトしたものに変えようという動きがある。例年6~7月に行われていた日本選手権をパラリンピック終了後にずらし、3月16日開幕のワールドグランプリ以降、パラリンピック終了までは代表チームの強化に専念できる環境整備を進めている最中だ。世界ランク13位からのメダル獲得。決して簡単な道ではないからこそ、やりとげたときの達成感、社会に与えるインパクトの大きさは大きい。そのためにも、ブラインドサッカー日本代表はあらゆる手段を駆使して、ミラクルロードを必然に変える。

【最新の世界ランク】
順位 国名
1.アルゼンチン
2.ブラジル
3.中国
4.トルコ★
5.スペイン
6.イラン
7.ロシア★
8.モロッコ
9.イングランド★
10.メキシコ★
11.フランス
12.コロンビア★
13.日本
※★の国は東京パラリンピックに出場しない

【モロッコ戦の日本代表】
GK佐藤大介(たまハッサーズ)
GK高橋太郎(ラッキーストライカーズ福岡)
FP川村怜(パペレシアル品川)
FP田中章仁(たまハッサーズ)
FP日向賢(たまハッサーズ)
FP加藤健人(埼玉T.Wings)
FP寺西一(パペレシアル品川)
FP佐々木ロベルト泉 (パペレシアル品川)
FP佐々木康裕(松戸ウォーリアーズ)
FP園部優月(free bird mejirodai)
ガイド中川英治
監督高田敏志

(取材・文 林健太郎)

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