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「正直、終わったかも…」からの大逆転劇!! 3点差ひっくり返した新潟医療福祉大が鹿屋体育大撃破

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直接FKを沈めた新潟医療福祉大MF塚田裕介(8番)が歓喜の咆哮

[12.11 インカレ1回戦 鹿屋体育大3-4新潟医療福祉大 川口]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は11日、1回戦を各地で行い、川口市青木町公園総合運動場陸上競技場の第1試合は鹿屋体育大(九州2)と新潟医療福祉大(北信越1)が対戦。前半17分までに鹿屋体育大が3点をリードしたものの、同30分、後半13分、同20分にゴールを奪って同点に追い付いた新潟医療福祉大が、同41分にFW矢村健(4年=市立船橋高)の得点で勝ち越し、4-3の大逆転勝利を収めた。

「立ち上がりがあれほど悪いとは思わなかった」。チームを率いる佐熊裕和監督がそう振り返ったように、新潟医療福祉大は試合開始直後から鹿屋体育大の猛ラッシュにさらされる。前半11分にPA内に侵入したFW藤本一輝(3年=藤枝明誠高)をDF高野俊晟(4年=埼玉栄高)が倒してPKを献上すると、PKを藤本自身に沈められて先制を許す。さらに同15分には左サイドを突破した藤本の折り返しの流れから、MF西村光明(4年=履正社高)に決められてリードは2点差に。そして同17分には、DF奥田雄大(4年=徳島市立高)の縦パスを受けた藤本のコントロールはズレたものの、こぼれ球をFW根本凌(2年=上田西高)に蹴り込まれ、先制点献上後の7分間でスコアは0-3となった。

 キャプテンを務めるFW矢村健(4年=市立船橋高)が試合後に、「正直、終わったかも…と思いもした」と苦笑したように、一方的な展開だった。たとえマイボールにしようとも、最終ラインから縦パスを打ち込めば鹿屋体育大の選手につかまってボールをロスト。根本、藤本、西村の前線トライアングルに手を焼いてショートカウンターを浴び、その後も幾度となくゴールに迫られた。だが、前半30分にMFシマブク・カズヨシ(2年=浦和ユース)の鮮やかなスルーパスから抜け出したFW小森飛絢(1年=富山一高)が沈めて1点を返して、前半を1-3で終えると後半は息を吹き返す。

「前半のうちに1点を返せたのは大きかった。選手の目を見ても、まだできる感じだった。ハーフタイムに今までやってきたことをやろうと話し、ポジショニングと攻撃の確認をした」(佐熊監督)

 前半はプレスの波に呑まれたが、「中盤を飛ばそう」とロングボールを効果的に使って密集地帯を突破。最前線の小森が競ったボールに相棒の矢村が関わり、前線に基準点ができると、徐々にフィニッシュに持ち込む場面を作り出す。後半9分にはMF塚田裕介(2年=横浜FMユース)が放った左足シュートがポストを叩くなど、攻勢を強めると、後半13分に塚田が鮮やかな軌道を描く直接FKを沈めて1点差に詰め寄る。

 完全に流れをつかんだ新潟医療福祉大は、後半20分、PA前でボールを受けたシマブクが複数人に囲まれながらも鋭い突破でPA内に持ち込み、左足シュートを突き刺してついに試合を振り出しに戻す。そして、仕上げはキャプテンの一撃だ。同41分、左サイドからFW佐々木快(3年=青森山田高)が送ったクロスに反応した矢村が、冷静にゴールに蹴り込んで逆転に成功。終盤は鹿屋体育大に押し込まれる展開となるが、体を張った粘り強い守備でしのぎ切って4-3の大逆転勝利を収めた。

 前半のシュート数は鹿屋体育大の7に対して2。しかし後半は鹿屋体育大のシュート数を1に抑え、10本ものシュートを浴びせたように、前後半でまったく違う顔を見せた。指揮官は「立ち上がりは気負い過ぎてポジションもメチャクチャだったけど、後半は冷静に対応してくれた」と立て直した選手たちを労う。

 中2日で行われる次戦の対戦相手は立正大(関東3)。次戦に向けて勢いに乗る勝利となりそうだが、「こういう勝ち方は……ね(笑)。慌てずにやりたい」と笑うと、「今日の前半はやってきたことを出せなかったので、勝ちにこだわりつつ、それを出していきたい」と次戦へと視線を移した。

(取材・文 折戸岳彦)
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