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裏方に回ったキャプテンへ…インカレ敗退の福山大、副キャプテンGK小西が感謝のスピーチ

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福山大はインカレ初戦敗退

[12.11 インカレ1回戦 びわこ成蹊スポーツ大2-1福山大 浦安]

 2年ぶり11回目のインカレとなった福山大(中国2)は初戦でびわこ成蹊スポーツ大(関西3)と対戦。しかし粘りもむなしく、1-2で惜しくも敗れ去った。試合終了後に福山大の選手たちはメインスタンド側へ整列。副キャプテンのGK小西智也(4年=清明学院高)は大きな声で少し長めのメッセージを送った。

 今季のキャプテンであるDF山本悠雅(4年=高知商高)はこの試合でメンバー入りせず。さらに副キャプテン2名のうちのDF林智弥(4年=秀岳館高)も同様で、山本と林はバックスタンド側から大きな声でエールを送り続けた。もう一人の副キャプテン・GK小西はベンチで勝利を目指し、そして今季チームを支えた3人の大学サッカーは静かに幕を閉じた。

 試合後、選手たちはメインスタンド側に向かって整列。すると副キャプテンの小西は、バックスタンド側で応援してくれたキャプテン山本や4年生たちへの感謝を大声で伝えた。「全然スピーチの内容は考えていなくて、話そうとも思ってなかった」というが、大きな声でスタンドの観客に呼びかける。彼らの素晴らしいサポートを観客に知ってほしいという考えから「とりあえず感謝の思いを伝えたいな」と約1分間の長いメッセージという形になった。

 キャプテンを務めた山本は今季プレーヤーとしては公式戦45分間のみの出場に終わっていた。「ずっと怪我。手術しかなくなって1年間できなくなりました」。プレーができなくなったという事実はもはや飲み込むしかなく、「何かでチームに貢献できるっていったら裏方のことくらい。ボール拾いをしたり、見守ったり、チームの仕事をしたり。練習に早く来てビブスの準備とか。当たり前の仕事をするように徹底しました」とプレーヤーを支える仕事に専念した。

 年間を通してチーム状況が厳しい時期もあったという。今季からチームを率いる的場千尋監督はユニバーシアード日本男子代表のコーチも兼任。前期は不在も多く、難しい時期を「キャプテン、副キャプテンで団結して乗り切っていった」(山本)ことがひとつの大きな経験にもなった。インカレ直前にもチームの雰囲気が悪くなるときがあったが、全体でミーティングをして意識を統一させた。「辛い時期もあったから団結できた」と山本は振り返る。

 応援には山本、林だけでなく、例年以上に4年生が応援に駆け付けた。「メンバーに入らなかった奴も応援に来てくれていた。4年の力がすごく大きくて、1年生もそれについてきてくれた」(小西)。1年間ずっとサポートしてくれた山本を始めとした4年生たち。その感謝の思いを、小西は自然とスピーチに変えた。

 バックスタンドから移動中だったため、そのスピーチを聞いていなかった山本。しかし小西に対して、「そういう色んな人の気持ちをわかるっていうことが今年のチームの良さにつながってきたのかなと思っています」と理解を示す。応援しすぎで声はガラガラ。「気持ちいいですね」としゃがれた声で強がりながら、小西の“即興”スピーチについては「たぶん考えていましたね。あいつはそういう奴です」と通じ合う仲だからこその冗談を飛ばしていた。

(取材・文 石川祐介)
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