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「枠に全然入っていない」シュートが得点に…法政大FW松澤彰「正真正銘、僕のゴール」

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法政大FW松澤彰

[12.14 インカレ2回戦 福岡大1-4法政大 柏の葉]

 指揮官は言った。「あれはオウンゴールだ」と。しかし、ストライカーは主張した。「あれは自分のゴールだ」と。そして、公式記録には自身の名前があった。法政大FW松澤彰(4年=浦和ユース/富山内定)は「正真正銘、僕のゴールです」とニヤリと笑った。

 福岡大の堅守を攻略し切れない法政大は0-0で迎えた後半16分、ベンチスタートとなっていた松澤を投入。「ヒーローになって来い」とピッチへと送り込まれた男は最前線で存在感を示す。189センチの長身を生かして前線で基準点となり、ゴール前にダイナミックに走り込んでゴールを脅かそうとした。

 前後半の90分間を0-0で終えたものの、延長前半2分にMF紺野和也(4年=武南高)の得点で先制すると、同6分にはMF橋本陸(4年=西武台高)が蹴り込んで加点。同10分には松澤にチャンスが訪れるが、MF竹本大輝(3年=成立学園高)のクロスから放ったヘディングシュートは枠上に外れた。しかし、同14分に福岡大に1点差に詰め寄られて迎えた延長後半7分、松澤に見せ場が訪れる。

 PA左から放った竹本のシュートは相手に当たり、こぼれ球はゴール前で完全にフリーで待つ松澤の足元へ。「左足でとにかく当てることだけを意識した」シュートはゴール左へと向かうが、軌道はゴールマウスを外れているようにも見えた。しかし、直前の竹本のシュートに反応して態勢を崩していたGK真木晃平(3年=大分U-18)に当たったボールは緩やかな放物線を描いてゴールマウスへと向かう。カバーに入っていたDFにクリアされそうになったものの、ボールはゴールマウスへと収まって再びリードを2点差に広げる貴重な得点が生まれた。

「多分、GKもビックリしたと思う…。その後もDFにクリアされそうだったので焦ったけど、うまく入って良かった」

 このゴールをベンチから見ていた長山一也監督は「枠に全然入っていなかったし、どフリーであれはダメですよ(笑)。『あれ、オウンゴールだからな』と言っておきました。あいつは『自分のゴールだ』と主張していましたけどね」と苦笑。だが、1点は1点。間違いなく、このゴールは苦しむチームを救った。それは指揮官も認めており「持っているとしか言いようがない」と続け、松澤本人も「公式記録でゴールになっているので、正真正銘、僕のゴールです」と胸を張った。

(取材・文 折戸岳彦)
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