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神戸のお好み焼き屋「あかぎ」へ…IPU・環太平洋大FW赤木直人は悔いなきラスト弾でサッカーに区切り

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IPU・環太平洋大FW赤木直人(4年)がPK弾で一矢報いた

[12.14 インカレ2回戦 IPU・環太平洋大1-2大阪体育大 AGF]

 1回戦で取材に答えたIPU・環太平洋大FW赤木直人(4年=飛龍高)は卒業後の進路について、祖母が営むお好み焼き屋と語った。2回戦会場では、その特徴的な坊主頭に向けて、対戦相手のサッカー部員からも「あ、お好み焼き屋!」と声を掛けられていた。赤木は2回戦で敗れたものの、自身はPKで一矢報いてみせ、「悔いはない」と満面の笑みを浮かべた。

 繊細さが光るプレーは環太平洋大を牽引した。この試合では序盤は最前線に位置取りながら、中盤に下りながら攻撃の組み立ても行った。しかしそれでも関西王者大阪体育大の堅守に苦戦。「自分が起点になってボールを触る回数を増やしたけど、中盤で潰され出した。なので裏を意識し始めた」。前半途中からはさらに左サイドの裏を狙い、より積極的にチャンスメークを行っていった。

 後半36分にはPA右角の外あたりからFKのチャンス。レフティーの赤木は左足を振り切るもゴールには結実せず。一方で、大体大のエースFW林大地(4年=履正社高/鳥栖内定)から2失点を浴び、苦しい展開が続いた。

 するとようやくやってきた絶好のチャンス。後半40分、DF林龍正(3年=希望が丘高)の折り返しにPA内の赤木が突進し、ファウルを誘発。「来てるのがわかっていたので、本当はシュートを打ちたかったんですけど、引っかかって結果オーライです」。待望の得点チャンス。まだ時間は残されており、1点追いつけば試合はわからない。「それまでセットプレーで3本くらい蹴って全部ショボいボールだったので」と緊張の色は隠せなかったというが、左足を振り抜きしっかりと1点を取り返した。

 終盤に1点を返し、1-2と盛り上がる展開に息を吹き返す環太平洋大。しかし猛攻もむなしく、大体大の堅守をもう一度破ることはできなかった。試合終了後に応援スタンドに整列しに行く選手たち。涙を流すものもいる中、赤木は清々しい笑顔となっていた。

 1回戦、2回戦と連続ゴールを挙げ、最後の舞台で2得点。「楽しくできた」と大会を振り返り、「悔いはない。やり切ったという思いがあるし、自分の中ではいい思い出」と語る。改めて将来について聞くと「就職もプロも考えていない」とお好み焼き屋の名前を教えてくれた。「兵庫県神戸市にあります。地元がそっちなので。ひらがなで『あかぎ』です。ぜひ来てください!」。大阪、広島としのぎを削る粉もん文化の本場・兵庫で、今度はその腕を振るっていく。

(取材・文 石川祐介)
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