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[MOM3088]青森山田DF箱崎拓(3年)_派手さは無くとも…ひたむきなプレー、声が引き寄せたファイナルMVP!

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プレミアリーグファイナルMVPに選出された青森山田高CB箱崎拓

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.15 プレミアリーグファイナル 青森山田高 3-2名古屋U-18 埼玉]

 大会MVPに選出されたCBは、驚きの表情を浮かべていた。表彰式を終えた後も「正直、まだ実感は湧いていなくて、本当に自分で良いのかというところもあったんですけれども……」。青森山田高CB箱崎拓(3年)は謙遜しながら語っていたが、名古屋U-18の強力攻撃陣を相手に勝負のポイントとなる守備の部分で奮闘。実直な性格が表現されているようなハードワークを継続して、1点リードを守り抜いた。
 
 確かに、特別なスピードがある訳でも、圧倒的な強さ・高さがある訳でもない。CBでコンビを組むU-17日本代表CB藤原優大(2年)が高さや守備範囲の広さで存在感を示す一方で、背番号4は派手なプレーをしている訳でもなかった。

 だが、黒田剛監督は箱崎が貫くハードワークや声がけについて評価する。「藤原の援護をしながら、GKと連係を取りながら、後ろからチーム全体を鼓舞しながらまとめるという、そういう彼のひたむきなプレーに今回の賞をもらえたと思う」と頷いた。

 前半にFW村上千歩(3年)との1対1を止めるなど、箱崎は対人ディフェンスでも粘り強くプレーしていた。普段から浦和内定MF武田英寿(3年)やFW田中翔太(3年)らハイレベルな攻撃陣とトレーニング。「そういう選手たちと日々トレーニングできていることで、試合になっても、『この選手を止めれるからこの選手も行ける』という心の余裕ができる。自主練とかでもやってきたので、結果が少しずつ出てきたのかなと思います」と青森山田で日々揉まれていることが結果に結びついていることを実感していた。

 箱崎は全国中学校大会で優勝している青森山田中出身でも、Jアカデミー出身でもない。名門進学後は思うように行かない日々もあった。だが、諦めなかった。「正直3年間振り返ると、相当苦しいことばかりで。自分は1、2年生の時は試合にも絡めず、Cチームとかにいる立場だったので、本当に悔しい思いをしていた」。だが、選手権や他の公式戦で躍動する先輩たちの姿を見て、自分にスイッチが入った。

 探し続けた生き残る道。それが人の嫌がることを率先してやることだった。「自分が何をすれば生き残っていけるのか考えたんですけれども、特長がない分、みんながやらないようなことを自分は率先してやったり、言いづらい状況で自分は発言したり、どんな時も鼓舞するというのが欠かせない人材になっていくにはそれが大事だと思ったので、言いたくないという気持ちはあったんですけれども、ここで言わなかったらチームが成長していかなかったり、自分としても成長しないと考えた時に言いたくないことを言うことでメンタルを培えたと思います」。

 自分のミスで失点したこともある。守備の責任で試合の流れを崩したこともある。だが、そこで士気が下がらないように、自分がまず切り替えていち早く次に向かうことを心がけてきた。この日、チームは同点に追いつかれた直後に勝ち越しゴール。失点を引きずらなかったDF陣は相手に3点目を与えず、優勝を果たした。

 目立たなくても、ひたむきに青森山田の守備の決まりごとを全うし、声を欠かさなかった男が勝ち取った優勝とMVP。箱崎は素直に喜んでいたが、「個人としてのタイトルをMVPという形でもらったんですけれども、やっぱりそれも今日までだと思っている」と語った。

 2週間後には最大の目標である高校選手権が開幕する。気を緩めている暇はない。この試合からも改善点や学ぶべき点を見つけたDFは、「2週間あればまたチームは成長できる」ときっぱり。プレミアリーグファイナルのMVPプレーヤーは、選手権での2冠のために必死に学び、成長し続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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