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仙台ユースに延長逆転勝ち!鳥栖U-18が3度目のプレーオフ挑戦で悲願のプレミア初昇格!

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プレミアリーグ初昇格を喜ぶサガン鳥栖U-18

[12.15 プレミアPO2回戦 鳥栖U-18 2-1(延長)仙台ユース コカ広島ス]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2020への出場権を懸けたプレーオフ(参入戦)の2回戦が15日に広島県内で行われ、コカ・コーラボトラーズジャパン広島スタジアムの第2試合ではプリンスリーグ九州優勝のサガン鳥栖U-18(佐賀)とプリンスリーグ東北3位のベガルタ仙台ユース(宮城)が対戦。延長戦の末、鳥栖が2-1で逆転勝ちし、3回目のプレーオフ挑戦で初のプレミアリーグ参入を決めた。

 試合は勢いのある攻撃が持ち味の鳥栖が再三相手陣内に攻め込んでゴールを狙うが、仙台はU-18日本代表GK小畑裕馬(3年)を中心にDF佐藤潤(3年)、DF高橋拓(3年)らが気迫みなぎるディフェンスを見せ、相手の攻撃をことごとくはね返し、前半は0-0で終えた。

 そして、後半最初にスコアを動かしたのは仙台だった。8分、佐藤潤のボール奪取から、スピードのあるFW吉田騎(2年)にボールが渡り、吉田のドリブル突破から、逆サイドのFW清水一雅(3年)へ繋がる。そして、ゴール前で混戦となる中、こぼれてきたボールに反応したのは1回戦でもヘディングシュートを決めたMF工藤真人(3年)。ミドルシュートがゴールに突き刺さり、欲しかった先制点をものにした。

 その後は鳥栖がさらに攻撃の勢いを強めるも、仙台がはね返す展開が終盤まで続いた。試合はアディショナルタイムに入り、仙台の勝利が見えかけてきた後半45+2分、鳥栖は途中出場のFW秀島悠太(3年)のクロスをDF永田倖大(3年)が折り返し、ボールを受けたのは今大会前までトップチームで活動してきたMF松岡大起(3年)。「点を取るしかないという気持ちで体でしっかり押し込めました」と放ったシュートがついにゴールネットを揺らし、試合は延長戦へ突入した。

 そして、延長前半3分、試合を決めるゴールを決めたのは秀島。左サイドからドリブルで駆け上がり、カットインして放ったシュートが逆転ゴールとなった。「夏の横浜FMユース戦でカットインからシュートを打ってその時も逆転ゴール。その時と重なりました。ボールを蹴るところも、シュートを打った場所もほとんど一緒です。同サイドに右足を振り抜くしかないと思い、イメージ通りに行ってくれました」という得意なコースだった。その後は、上手く時間を使いながら仙台の反撃を封じ込み、2-1で白星を収めた。

 タフで劇的なゲームを制した鳥栖の田中智宗監督は「勝って泣けるゲームはなかなかありません。選手たちに感謝したいです。先制されて苦しかったのですが、選手たちが最後の最後まで諦めずにやってくれた成果が出ました」と感慨無量。「自分は初めてでしたが、今回が3度目の選手もいますし、コーチの室は過去2回ベンチに入って負けた悔しい思いをしました。過去のスタッフ、選手の分まで戦ってくれました」とこれまでチームを支え、残念ながらプレミアリーグ参入に届かなかった代の選手たちやこれまでのコーチ陣たちにも思いを馳せ、悲願達成を喜んだ。

 ゴールを決めた鳥栖の松岡と秀島はソレッソ熊本出身。ソレッソ熊本は6年前のJA全農杯チビリンピック決勝に進出し、2人も出場していたが、敗れた相手が仙台ジュニアだった。当時の仙台のメンバーで出場したのは主将のMF千葉武(3年)、MF角田拓海(3年)。そして仙台の壱岐友輔監督はその当時の仙台ジュニア監督という縁のある試合だった。

 秀島は「(1回戦後仙台との対戦が決まった後)小学校の時の同級生から言われました」と当時のことを回想した。「あの時自分はDFだったのですが、自分が裏を取られて目の前でシュートを決められて、その1点で負けたのは今でも忘れられない悔しさです。もちろん今はメンバーも違うのですが、借りを返せた思いで、やってやったという気持ちです」と6年越しのリベンジゴールに感無量だった。松岡も「小学校の時あそこで負けて、次やる時は絶対勝ちたいと思っていました」とその時の悔しさは忘れていなかった。そして、2人にゴールを決められた壱岐監督も彼らのことを忘れておらず、「あの時は決勝戦で我々が勝って、今度は最後の最後で決められて、逆になったか…という思いはあります」と2人のゴールに人一倍の悔しさをにじませていた。

 そして、壱岐監督は悲願のプレミア参入まであと少しまで迫っていただけに「何とも言葉では言い表せない結果です。正直、まだ、整理がついていません」と起こったことを受け止めきれない様子だった。それでも、主将の千葉は「悔しいですけど、自分たちの持っているものは全て出し切ったので、悔いはありません」と胸を張った。トップ昇格4名、年代別代表選手も揃う鳥栖の攻撃を、気迫のディフェンスではね返し続けたことは大きな成果だ。それでもあと少し守れていればというところで失点し、延長逆転負け。この大きな悔しさをバネに、来年6回目のプレーオフ挑戦、そしてプレミアリーグ参入を目指す。

(取材・文 小林健志)
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