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“風間サッカー”ベースの桐蔭横浜大が前年覇者法政大を撃破!初出場初優勝へあと2つ

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桐蔭横浜大が4強に勝ち上がった

[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

 前回王者相手にも自分たちの戦い方は変えない。安武亨監督は「相手に合わせることは考えていない。そもそも、合わせられないですし」と謙遜したものの、「勝っても負けても自分たちがやりたいことを貫いた方が納得できる。だから崩すつもりもありません」と堂々と話した。

 先制点はセットプレーから決まった。桐横大は前半16分、右サイドでCKを獲得すると、FW下村司(4年=市立船橋高)が蹴り入れる。これがフリーで走り込んでいたDF遠藤凌(3年=浦和ユース)の頭にピタリ。是が非でも欲しかった先制点を手にする。

 勢いのままに前半を折り返した桐横大は後半2分、MF神垣陸(3年=尚志高)が豪快なミドルシュートを突き刺して追加点を奪った。かに思えたが、直前にDF岩下航(3年=前橋育英高)とMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)が入れ替わってボールを受けたプレーがオフサイドと判定されたために、ゴールが取り消しとなる。

 しかし集中力を切らさなかった桐横大は後半10分、相手GK中野小次郎(3年=徳島ユース/札幌内定)のスローを受けたMF末木裕也(4年=甲府U-18/富山内定)のバックパスを見逃さなかった岩下がカット。そのまま右足でゴールに突き刺し、正真正銘の2点目を奪った。

 ただ簡単に負けるわけにいかない法大も、後半開始から途中投入されていたMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)、後半9分からの出場となったMF長谷川元希(3年=大宮ユース)、同29分から投入されたFW佐藤大樹(2年=札幌U-18)ら交代選手を中心に積極的にゴール前に顔を出す場面を作っていく。すると同33分、エリア内で佐藤がDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)に倒されてPKを獲得。これを佐藤自らが沈めて、1点差に詰め寄った。

 だが桐横大はその後も守りを固めるわけではなく、そして最後まで自分たちの形を崩すことなく、さらにダメ押し点までもを狙いに行く。後半45分のFW滝沢昂司(4年=桐生一高)のクロスをFW國場龍之介(4年=神村学園高)が合わせたヘディングシュートは惜しくも枠上に外れてしまったが、気持ちよくい勝ち切ってみせた。

 桐横大は1998年にサッカー部の本格強化を開始。当時の監督は川崎フロンターレや名古屋グランパスで監督を務めた風間八宏氏だった。2004年にコーチであった八城修氏(現総監督)が監督に昇格。そして2018年より安武監督がチームを引き継いだ。

 風間サッカーを理想に掲げる通り、パスサッカーで観客を魅了するサッカーを構築。そのうえで安武監督は守備戦術などで「独自の色」を加えながらチームを作ってきた。その結果、13年に1部昇格してからは残留争いをするのが精いっぱいだったチームを過去最高の2位に引き上げ、初のインカレ出場へと導いた。

 安武監督は「ベースを作ってくれたのは風間さんであり、八城総監督。そこに守備の所はサボらないという直向きさであったり、ちょっとした自分の色を反映させたいと思っています。そこに今年は勝負強さがついて、少し歯車があってきたのかなという感じです」と急成長の要因を語る。

 初出場初優勝の快挙まであと2つ。大きな目標としてはインカレ決勝と同日に開催される新人戦(1、2年生チームの大会)とのWタイトルの獲得。新人戦は現在2連覇中で、今年もグループリーグに勝ち残っていることもあり、大いに可能性が残っている。

 接戦を勝ち切ることで成績を向上させた今季のリーグ戦だったが、黒星を喫したのは順天堂大、法政大、中央大、明治大の4校。順大はインカレに出ていないが、順番に行けば3校にリベンジするチャンスがある。その意味でも法大へのリベンジをまずは達成。次なるターゲットは中央大だ。「中大さんも戦うチームなので、次も死闘になると思うけど、とにかく頑張ります」(安武監督)。自分たちのサッカーを最後まで信じることで、頂点まで駆け上がる。

(取材・文 児玉幸洋)

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