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[MOM674]桐蔭横浜大DF岩下航(3年)_チャンスは突然に

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後半10分にDF岩下航がチーム2点目を奪った

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 後半10分、DF岩下航(3年=前橋育英高)は自軍の攻撃がGK中野小次郎(3年=徳島ユース)にキャッチされたことで、左SBのポジションに戻ろうとしていた。

 だがチャンスは突然やってきた。中野のスローを受けたMF末木裕也(4年=甲府U-18)のバックパスが岩下の足元に入る。「ビックリした」と振り返る岩下が、落ち着いて前をみると、中野のポジションがずれていたことで、ゴールががら空きなのが分かった。「あとは決めるだけでした」。ゴールネットに突き刺すと、無我夢中でベンチ方向に走り、歓喜の輪の中心を作った。

 直前のプレーでモヤモヤ感があった。1点リードで折り返した直後の後半2分、桐蔭横浜大はMF神垣陸(3年=尚志高)が豪快なミドルシュートを決めたかに思われたが、岩下が関与したプレーがオフサイドと判定されて、主審と副審の協議の末にゴールが取り消しとなっていた。

 ただ岩下は引きずってはいけないと、気持ちの切り替えを心掛けていたという。そこで生まれた“取り直し”のゴール。「オフサイドになったときは気持ちが切れるかなと思ったけど、みんなで声を掛け合って、逆に一個ギアを上げていこうと話をしていた。そこで点が決まったので、気持ちが上がりました」と満面の笑みで答えた。

 全国の舞台は前橋育英高時代にも経験。しかし高校最後の大会だった高校選手権では決勝で青森山田高に大敗を喫した苦い経験を持つ。ただ当時は翌年リベンジ優勝を飾ることになる2年生メンバーが中心だったが、その中で岩下は背番号11をつけて、3年生部員としてしっかりと結果を残した。

 また高校時代はSHを主戦場としていた岩下だが、大学1年の夏にSBに転向。「最初は何も出来なかった」と振り返るが、元MFの攻撃力をそのままに、守備力を向上させたSBへと進化を遂げている。

 この日は大学屈指のMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)と対峙。紺野がベンチスタートだったために、「後半のきつい時間帯で出てくるのかなと思った」というが、最後までしっかりと走り切って、紺野に決定的な仕事をさせなかった。

 大学入学当初は遠い目標だったという「日本一」まであと2つと迫った。「今年は4年生が頑張ってくれて、日本一が取れるんじゃないかという雰囲気にもなっている。今もほぼ4年生のために戦っているようなものです」。その意思統一がされているからか、“幻のゴール”も含め、ここまでの得点はすべて3年生が決めている。「まだベスト4なので油断できない。次も気を引き締めて頑張りたいなと思います」。この快進撃は決して奇跡なんかではない。初出場校は地に足をつけながら、頂点を目指している。

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(取材・文 児玉幸洋)

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