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[MOM676]桐蔭横浜大MF中井朗人(4年)_新人戦優勝から2年、仲間とともに約束の決勝へ

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桐蔭横浜大MF中井朗人(4年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.19 インカレ準決勝 桐蔭横浜大3-1(延長)中央大 NACK5]

 延長戦までもつれ込んだ準決勝。桐蔭横浜大は1-1で迎えた延長前半4分、途中出場のMF中井朗人(4年=興國高)が勝ち越しヘッドを叩き込む。「ベンチが多かった」と大学サッカーを振り返る男が、桐横大の勝利を呼び寄せる値千金のゴールを決めた。

 中井は後半29分に投入される。役割は2つ。中央大FW加藤陸次樹(4年=広島ユース)がボールを収めていたため、そこを封印すること。もうひとつはセカンドボールを拾い、試合を落ち着かせること。安武亨監督は「彼は落ち着いている選手」と評価しており、「ちょっとゲームを落ち着けたいという意図がありました。気持ちも強いし、4年生に託した」と中井をピッチに送った。

 役割をこなす中井だったが、桐横大は0-1で迎えた後半45分にまさかの失点を喫する。一瞬焦りもあったものの、「まだ負けたわけではなかったので、すぐ頭を切り替えた」と持ち前の冷静さを発揮。試合は延長戦となり、そしてそのときはやってきた。

 桐横大は延長前半4分、DF岩下航(3年=前橋育英高)のパスを受けたDF中村響(4年=前橋育英高)が絶妙なクロス。中井の前には敵味方一人ずついたが、弧を描いたボールは2選手を通り越して中井のもとへ。「ボールがめっちゃよかった。ほとんど見ていなかったんですけど、当たって入っていたくらいの感じ」。ドンピシャヘッドを叩き込み、仲間とともに喜びを爆発させた。その勢いで6分後にも追加点。初出場の桐横大が決勝に駒を進めた。

 指揮官も「本当にサブで我慢し続けて、それでも頑張り続けていた子たちが最後活躍してくれた」と目を細める。中井は「いつぶりの得点かな」と宙を見た。トップチームではなかなか出番を掴めないまま4年間が経過。リーグ戦でベンチ入りはするが、なかなか出番は来ず。得点もアシストもできなかった。

 そんな中井が得点に歓喜していた場面を覚えている。2017年12月24日、浦和駒場スタジアムでインカレ決勝が始まる直前。隣接のレッズハートフルフィールド駒場では、1、2年生主体の第1回全日本大学サッカー新人戦の決勝戦が行われていた。

 桐横大は慶應義塾大と対戦。先発の中井は先制点をアシストし、さらにダメ押しの3点目を決めていた。桐横大は栄えある初代王者となったが、会場には応援スタンドもない。静かに喜ぶ中井たちの横を、駒場スタジアムへインカレ決勝を観に行く人たちが通り過ぎていった。「おれらの年は絶対駒場スタジアムでやろう」。その思いが絆を深め、そして今季の躍進へとつながっていく。

 決勝戦ではいよいよ浦和駒場スタジアムへ。中井は4年間を振り返りつつ、ともに歩んできた仲間への思いを明かす。「上手くいくことばかりではなかったですけど、いい仲間とブレることなく、ずっと日本一という目標に向かってサッカーができました。人のためになろうとしたときが一番力が出せるというか、そう思っています。最後は楽しくやりきって勝ちたいですね」。仲間とともに、仲間のために。その思いの結晶が今日の勝利を形作った。

2017年12月24日、第1回全日本大学サッカー新人戦で優勝した桐横大


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(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

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