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長崎・高田明社長はラストマッチに「今日くらい感動した試合はなかった」

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高田明社長の名台詞「サッカーには夢がある」というゲーフラを掲げるサポーターの姿も

[12.21 天皇杯準決勝 鹿島3-2長崎 カシマ]

「負けたことはめっちゃくちゃ悔しいけど、悔いはない。満足しています!」。V・ファーレン長崎運営会社の高田明社長は試合後、清々しい表情で報道陣の前に姿を現した。2020年1月1日付での退任が決まっているため、結果的にはこの日がラストマッチ。それでもトレードマークの笑顔を絶やさず、長崎の未来に夢を語っていた。

 高田氏は2017年4月、当時債務超過や給料の未払いなど深刻な財政難に陥っていたクラブの社長に就任。完全子会社化で経営を一気に立て直し、同年には史上初のJ1リーグ昇格に導くなど、ピッチ内外の両面で劇的な改革を成功させた。現在はスタジアム新設計画を先導しつつも、来季からは長女の高田春奈氏に社長を引き継ぐことが決まっている。

 今季の長崎はJ2リーグ戦42試合で昇格を果たすことはできなかったものの、ルヴァン杯と天皇杯で過去最高の成績を達成。全Jクラブ最多タイとなる計55試合を戦ってきた。最後の相手はアジア王者の鹿島。フレッシュな選手構成で3-4-2-1の新システムにもトライし、2点を奪う奮戦で来季への希望を感じさせる戦いを演じた。

「めちゃくちゃ良かった。これまで3年くらい社長をやりましたが、今日くらい感動した試合はなかった。いつも言ったら叱られるんですけど、満足があります。今日のフォーメーションは若手中心というのがあったけど、エネルギーを感じたし、将来がまさしく見えてきた」。高田社長の口からも前向きな言葉が次々に飛び出した。

 試合前にはコンコースを歩き、カシマまで訪れたサポーターと交流。長崎からやってきた人々だけでなく、県出身の都内在住者のほか、長崎にルーツのないサポーターとの出会いもあったという。また試合後にはサポーターと直接向き合い、肉声で感謝を伝えた。

「笑顔とか思いとかを感じることができる集大成になった」と感慨を語った高田社長は「悔しさはあるけど、悔しさの中に『来季はV・ファーレン頑張るぞ!』という声に聞こえた。そういう思いも感じたし、一回の結果だけで全てを評価することはない。すごいこと。満足しています!」と悔しい結果の中に手応えも感じていたようだ。

「人生は次にバトンタッチすることが大事」と社長業からの退任は決断したものの、来季からもクラブに引き続き関わっていく意向も口にした。

「来季は高田春奈が引き継いでくれると思うし、みなさんの付託に応えられるように。私もちょっと立ち位置が変わるが、皆さんと一緒に眺めながら、意見するところは意見をして、一緒になってV・ファーレン長崎のスタジアム構想を含め、日本に誇れる、世界に誇れるようなチームになることを目指していきたい。一過性のことで一喜一憂してもね。悔しさを持ちながら頑張っていくことが大事。僕も頑張っていこうと思っています」。

(取材・文 竹内達也)
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