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リーグ戦出場0で挑んだ鹿島戦…長崎の大卒ルーキーDF鹿山「成長できる材料」

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V・ファーレン長崎DF鹿山拓真

[12.21 天皇杯準決勝 鹿島3-2長崎 カシマ]

 クラブ史上初の天皇杯準決勝に臨んだV・ファーレン長崎において、3バックの一角を務めたのはJ2リーグ戦で一度も出場機会のなかった大卒ルーキーだった。そんなDF鹿山拓真は「全然ダメでした」と厳しい自己評価を突きつけ、クラブの未来を背負っていく覚悟につなげていた。

 長崎県長崎市出身。長崎南山中高を経て、県外の東海学園大で実力を高めた後、故郷長崎のJクラブに帰ってきた。大学4年次の昨季はルヴァン杯2試合に出場し、いち早く公式戦初ゴールを記録。プロ1年目の今季はJ2リーグ戦の出場こそなかったものの、ルヴァン杯8試合、天皇杯5試合のカップ戦全13試合で先発を続けてきた。

 新国立競技場での元日決勝をかけたカシマでの準決勝、長崎はリーグ戦のレギュラーを担ってきた主力メンバーを中心に起用する方法もあったはずだが、鹿山らカップ戦メンバーを多く組み込んだ。そのうえシステムは今季初の3-4-2-1。鹿島を意識した奇策の一端を大卒ルーキーが担う形となった。

「カップ戦は全部スタメンで監督も使ってくれたので、監督を信じて、チームを信じて、戦うことだけを考えて入った。リーグ戦では出ていなかったけど、天皇杯に向けては練習ではアピールできていた。信頼して使ってくれた監督に感謝したい」。抜擢を意気に感じた23歳は「うまくいかないことも想定しながら」試合に入った。

 実際、試合の立ち上がりはうまく前後関係を保って攻める鹿島の布陣に対し、なかなかマークが定まらない場面が続き、前半の早い時間帯に2失点を喫した。それでも徐々に形勢を取り戻していくと、狙いどおりのサイド攻撃から追撃のゴールを記録。「相手が慌て出した」「鹿島さんも少しは混乱したのかな」と手応えを感じつつの90分間となった。

 しかし、最後はわずか1点が届かず、決勝進出の夢は幻に終わった。「全然ダメでした」。率直すぎる自己評価を語った23歳の口からは「3枚でやり慣れていないのは言い訳になるけど、自分のやるべきことを明確にしてプレーしておけば良かった」「うまく行かないことも想定して試合に臨んだのが悔しい。もっと練り込んで試合に臨んでみたかった」と後悔ばかりが出てきた。

 それでも試合後、手倉森誠監督は「来季への可能性を選手たちが示してくれた。この悔しさを忘れず、V・ファーレンが目指す日本に誇るクラブづくりをしていければ」と未来への展望を語り、退任が決まっている名物社長の高田明氏も「エネルギーを感じたし、将来がまさしく見えてきた」と戦いぶりを誇っていた。

 そんな未来を築いていくのは他ならない、クラブの歴史的な日をピッチで経験した選手たちだ。「経験ができたことはプラスに捉えて、もっと自分のプレーを見つめ直して、成長できる材料だと思うので、課題としてこれからのサッカー人生に活かしていきたい」。そう語った鹿山は長崎出身者という誇りも胸に、来季に向けた意気込みを語った。

「長崎出身者の一人として長崎を背負う覚悟がないといけない。その覚悟はこの1年間で自分自身すごく感じてきたし、リーグ戦には出られていなかったけどカップ戦では自分のプレーを見せられた。今度はリーグ戦で自分のプレーを見せて、自分が伝えていきたいこと、V・ファーレンが伝えていきたいことをサッカーを通して伝えていきたい」。

(取材・文 竹内達也)
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