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東福岡で選手権優勝、そして明治大でインカレ優勝…再び有終の美を飾ったMF中村健人は来季Jの舞台へ

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明治大MF中村健人(4年=東福岡高)

[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 東福岡高で高校選手権優勝という頂点にたどり着いたMF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)は、明治大という最高の試練に挑み、そして“最強”の一員となった。

 栗田大輔監督は11月のプロ内定会見時に「“東福岡の10番”から“明治の中村健人”になった」と語っていた。東福岡では10番を背負ってキャプテンとして高校選手権を制覇。しかし中村はそこでピークを迎えることなく、飽くなき向上心で明大に入学。大学4年間でさらなる成長を見せた。その変化はプレー面で表れている。インカレ決勝という大舞台にも臆せずに挑むと、FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)と並ぶこの試合最多のシュート4本を放ち、相手ゴールを脅かし続けた。

 自身の特徴をキック精度やパスと語ってきた中村。その長所をより生かすために「まずシュートから狙わないと相手も食いつかないし、味方もスペースが空かない。そういう意味ではまず自分がシュート意識を持つことが大事」と、この試合でも積極的にボールを打つことを意識した。前線と中盤をつなげるトップ下という役割を担った今シーズン。総理大臣杯、リーグ戦、そしてインカレとタイトルを獲得することでより一層自信が形作られていった。

 大学生活で得たものも大きい。大学入学後はレベルや強度の高さに驚きつつも、「それは自分が求めてきたもの」と成長のために試練として受け入れた。「寮生活も厳しいですし、1、2年生の仕事も大変なところはありましたけど、4年間を振り返ってみて成長しているなって。そういう意味では来てよかった」とその軌跡を振り返る。「すぐにプロに行くよりは、一度大学に経由することでいい経験ができたんじゃないかなって思います」と歩んできた道のりを語る様子は、どこか誇らしげにも見えた。

 高校選手権優勝とインカレ優勝の違いはあるか。答えのない質問にも中村はよどみなく反応する。

「高校のときも嬉しかったし、色々感動することがありました。明治は60人という少人数で、全員が同じ方向を向いてサッカーをするような大学だし、人間性がまず求められる大学でもあります。そういった組織の中で、最後まで応援組も含めて優勝に向けて自分たちがやるべきことをやって、それをした上での優勝。達成感とはまたちょっと違う感覚はありますね」

 高校、大学と経て、ひと回りふた回りも成長を遂げた中村は、来季から鹿児島ユナイテッドFCでJリーガーになる。鹿児島は今季J2リーグで21位に終わり、来季から舞台を再びJ3リーグに移す。降格については「それでも自分なりに鹿児島のサッカーに惹かれて入ることを決めているので、鹿児島に貢献したい」と語る。「J3に落ちて、よりやりがいを感じるじゃないですけど。自分が入って鹿児島にいい流れができたり、変わればいいなって思います」。数々の試練を乗り越えて栄光を手にしてきた。東福岡、明治大、そして今度はJリーガーとして、新たな“中村健人”がスタートする。

(取材・文 石川祐介)
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