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10年来の戦友とともに優勝の瞬間を…FC東京内定の明治大MF安部柊斗「真っ先に亮のところへ」

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優勝の瞬間を迎えた明治大MF安部柊斗(4年)

[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 数々のタイトル獲得に貢献し、そしてインカレでも全試合フル出場で3冠達成の原動力に。中盤でボールを奪い取り、攻撃の起点としてパスを繰り出すダブルボランチの一角。明治大の心臓部として活躍したのがMF安部柊斗(4年=FC東京U-18)だ。

 今季3冠を懸けて挑んだインカレ決勝でも安部はフル稼働。安定感のあるボール奪取と、狙いすました前線へのパスで明大の攻守を牽引する。後半3分には自らPA左角に入り込み、無回転気味の右足シュートを放ち、GKに阻まれたがチャンスをつくる。その10分後には右足で切り返して、利き足とは逆の左足シュートで再びゴールを脅かした。

 直接得点に関わることはなかったものの、延長戦も含めた120分間を走り抜いた。3-1で勝利が決定した瞬間には、まだ体力が有り余っているかのように笑顔で駆けていく。その先にいたのはFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)。FC東京U-15むさしに加入した中学生のときから10年間をずっとともに過ごした戦友だ。

 2人はこれまでタイトル獲得の瞬間をともにピッチ上で迎えたことはなかった。大学3年次には総理大臣杯で優勝。しかし安部はピッチにいたが、佐藤は決勝前日に体調不良で離脱していた。さらに今年の大臣杯では連覇を達成するも、安部が大怪我を負って途中交代に。今季リーグ戦での優勝時も安部はフル出場だったが、佐藤は後半45分に交代となっていた。

 佐藤はインカレ直前に負傷しており、準決勝で復活を遂げる。そして決勝の舞台で2人はともに先発出場し、120分間を戦い抜いた。大学サッカー最後の舞台で、3冠達成という最高の瞬間を、2人はようやくともにピッチの上で味わう。そのとき安部は笑顔で佐藤のもとに駆けていった。

 安部は「インカレは最後まで一緒にピッチに立てたので、真っ先に亮のところに行きました。本当に嬉しかったですね。2人でピッチに立てて」と笑顔。その後、佐藤にも聞くと「優勝した瞬間に安部が僕のところに飛びついてくれて。ものすごく嬉しかったです」とはにかんだ。互いに褒め合うことはあまりなく、言葉を交わさずとも高め合える関係と佐藤は明かす。しかし最後には安部が駆け付けてきてくれた。「こいつとやってきてよかったなって個人的に思います」とクールに喜びを表現していた。

(取材・文 石川祐介)
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