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「裕葵もすんなり譲ってくれた」…豪快FK先制弾のMF中山雄太、これぞチームの“大黒柱”

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U-22日本代表MF中山雄太(ズウォレ)

[12.28 キリンチャレンジカップ U-22日本代表 9-0 U-22ジャマイカ代表]

 いきなり訪れたチャンス。ボールに向かったのはキャプテンと背番号10だった。キャプテンマークを巻くMF中山雄太(ズウォレ)は言った。「蹴らせてほしい」と――。

 試合開始早々の前半5分。PA手前で突っかけたMF旗手怜央(順大→川崎F)がファウルを誘ってFKを獲得する。ボールの前に立ったのは左利きの中山と右利きのMF安部裕葵(バルセロナ)だった。FKの位置はPA外右。左利きの方が直接狙いやすい位置ということもあり、中山は自らキッカーに名乗りを挙げる。

「自信があった。裕葵との会話で『蹴らせてほしい』と伝えたら、裕葵もすんなり譲ってくれた」

 ゆるやかな助走から左足を振り抜くと、ボールは一直線にゴールへと向かう。相手GKに触れられることなくネットに突き刺さり、先制点となるゴールが生まれた。「あまり多くは考えずに自信を持って蹴った。気持ちで入ったゴールだと思う」。歓喜を爆発させた。次々と仲間たちが祝福のために駆け寄って来る。その祝福に応えるだけでなく、ベンチに向かっても大きなガッツポーズ。キャプテンが見せたその姿は、チームが一つとなって戦っていることを強く印象付けるシーンだった。

 貴重な先制点を奪うだけではない。激しい寄せで相手の攻撃を寸断し、こぼれ球への反応も秀逸でボールを拾いまくる。そして、左足から繰り出すキックは正確そのもの。前半19分には鮮やかなスルーパスを供給して、チーム4点目の起点となった。まさに出色の出来。後半27分からはボランチから最終ラインの中央に移り、役割を変えた中でも、その存在感は絶大だった。

「自分の特長を出せて結果がついてきたのは大きいし、嬉しい部分はある」。充実した表情を見せる一方、この日のジャマイカの出来が悪かったこともあり、「1試合だけで満足する部分はない」と決して満足することなく、五輪イヤーへと向かっていく。

(取材・文 折戸岳彦)
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