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[MOM3100]國學院久我山FW山下貴之(3年)_3トップ組む2人に負けない!令和の選手権ハット第1号!

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前半11分、國學院久我山高FW山下貴之が2点目のゴールを決める。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.30 選手権開幕戦 國學院久我山高 8-0前原高 駒沢]

 開幕戦でいきなり3発。令和の選手権ハットトリック第1号となったのは東京都予選3試合で1得点の國學院久我山高FW山下貴之(3年)だった。

 序盤は全体的に硬さの見られた國學院久我山だったが、前半6分、山下がゴールでチームを勢いづける。左サイドでボールをさばくと、「パスを出した後にアクション起こそうと言われている」というFWは中央へ潜り込む。その足元にMF福井寿俊(3年)のミドルシュートが入り、コントロールした背番号7が右足シュートをゴール左隅に流し込んだ。

 山下は「トラップすればシュートが入るんじゃないかと思ったのでトラップしてシュートを撃ちました。運が良かったというかラッキーな部分がありました」。と笑顔。このゴールで硬さの取れた國學院久我山は、開幕戦記録を更新する大量8ゴールで初戦を突破した。

 その中で山下は3ゴール。残りの2得点はシュートのこぼれとMF田中琢人(2年)のスルーパスから奪ったものだった。本人は「運が良かった」と強調したが、全国舞台で3得点を決めることは簡単なことではない。この3ゴールは本人の負けん気の強さと努力がもたらしたモノだった。

 山下はこの1年間、CFの山本航生(3年)、右FW戸坂隼人(3年)と3トップを組んできた。山本航がシーズン開幕から公式戦16試合連続ゴールを記録し、戸坂は右サイドからのドリブルで相手DFを圧倒してゴールも連発。今回の選手権予選でも山下の1得点に対し、山本航が5得点、戸坂も4得点を挙げている。

 山下もシーズン序盤は柔らかいドリブルで止まらない存在になっていたが、そのドリブルや左足を研究されると結果が出せなくなった。「あの2人はシーズン通してずっと活躍していて、3トップの中で自分だけ点取れないとか、結果を出せない時期があって一番はチームにとって申し訳ないという気持ちがあったんですけれども、その2人にも負けないように絶対にやってやるという気持ちを持ってやっていました」

 途中交代する時間も段々早くなるなど、壁に当たっていた。だが、選手権予選終了後にもう一度自分のプレー、ストロングポイントを見直してシュート練習。その成果も出ての3得点に清水恭孝監督は「チームのために一生懸命やっているので、何とかしてくれると思う」と頷いていた。

 対戦したい相手の問いについて、「青森山田とやりたいですね。青森山田は日本一強いと思っているのでそこに行くにも全部強敵だと思うんですけれども、青森山田と試合をしたいとずっと思っています」と前回王者・青森山田高を指名。そして決勝で弟のリベンジをするという思いも持っている。

 弟の専修大松戸高MF山下晶大(2年)は、選手権千葉県予選準々決勝でインターハイ予選優勝校の日体大柏高を破ったが、続く準決勝で市立船橋高に0-4で敗戦。山下は「弟がベスト4で市船に負けてその試合、学校休んで見に行っていたんですけれども、弟の他にも(中学時代に所属した)ジェファのチームメートがたくさんいて、悔しさそうな顔を見て、リベンジできたらとずっと思っています」。自身の得点よりもまずはチームの勝利。この日、チームのために戦って3得点したFWが、今後もチームのために仕掛け、シュートを放ち、青森山田や市立船橋を破って目標の全国制覇を果たす。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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