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新体制の伝統校・四中工、初出場・日大明誠を退け6年ぶり選手権勝利

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四中工は鳥取内定FW田口裕也が先制点(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権1回戦 日大明誠高1-3四日市中央工高 フクアリ]

 じつに6年ぶりの白星だ。第98回全国高校サッカー選手権1回戦で、34回目の出場となる四日市中央工高(三重)が、初出場の日大明誠高(山梨)に勝利。大会通算58回目の勝利を飾った。

 白のユニフォームがファーストチャンスを確実にものした。開始5分、DF青木晴暉(2年)が前線にヘディングで送ったボールにいち早く反応したFW田口裕也(3年)は、GK二上彰太(3年)が飛び出してきたところを浮き球でゴールに流した。昨年度の選手権は0-2で1回戦負け。今夏の総体でも1回戦で0-5の大敗を喫しており、現在の3年生にとっては全国大会初得点となる。エースナンバー「17」を背負う田口は四日市中央工応援席へ雄叫びをあげた。

 先制点で落ち着いた四日市中央工は、自慢の攻撃力を生かす。2列目のMF森夢真(3年)、MF和田彩起(3年)がサイドを何度も攻略。両サイドバック、DF土江晃貴(3年)とDF永崎楓人(3年)も高い位置をとって押し込んでいく。そんな中、和田が右サイドを突破し、中央へクロス。2トップの田口とFW井上駿(3年)がゴール前につめていたが、ファーサイドの森が右足を振り抜いてリードを広げた。

 今年から四中工を率いる伊室陽介監督は、同校のOBであり、91年度に選手権を制したメンバーのひとり。昨年度の選手権ではコーチを務め、大会終了後に樋口士郎前監督から引き継いだ。「初戦がむずかしいことは、自分が現役のときも、樋口士郎先生のコーチだったときも十分わかっていました。いい入りができたのは、東京に入ってからのあの子たちのトレーニングの空気がそのまま出た」。見事な先制パンチを指揮官は称えた。

 四日市中央工ペースが続く中、ピンクの大応援団の声援を背に日大明誠が巻き返しをはかる。ハーフライン付近からのFK、DF西野隼人(3年)のロングボールをDF齋藤康友(3年)がコントロールされたヘディングシュートで前半35分にゴールネットを揺らした。声援のボリュームは一段上がり、日大明誠の選手にも活力が出てきた。

「これが選手権」。四日市中央工の伊室監督は、めまぐるしい展開にハーフタイムで気を引き締めたという。「日大明誠も3年間全力でがんばってきたんだ。お前たちよりも走るかもしれない。じゃあ、こっちも走ろう。つぎの1点が勝負になる」。そう送り出された四日市中央工イレブンは、背番号10の森がドリブルからの個人技でこの日2点目をゲット。試合を決定づけた。

 日大明誠は主将のFW鶴見來紀(3年)を後半20分にピッチに投入するも、流れを変えきれず試合終了の笛を聞いた。「前半の失点が痛かった」。日大明誠の後藤聡志監督は悔やんだ。

 四日市中央工としても、三重県勢としても、6年ぶりとなる選手権での勝利。1月2日に行われる2回戦では、松本国際高(長野)と対戦する。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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