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開始9分でFW交代のアクシデントも…神戸弘陵は数的優位から一気の逆転劇

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神戸弘陵がシーソーゲームを制した(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 高校選手権1回戦 秋田商2-3神戸弘陵 ニッパツ]

 第98回全国高校サッカー選手権大会の1回戦が31日に行われ、ニッパツ三ツ沢球技場の第2試合では、神戸弘陵高(兵庫)が秋田商高(秋田)を3-2で下した。来年1月2日の2回戦では、明秀日立高(茨城)と激突。場所は同じニッパツ三ツ沢球技場で12時5分キックオフ。

 風がポイントとなることは試合前から分かっていた。後半に自信のあった神戸弘陵は、コイントスで勝ったがあえて前半の風下を選択。前半を耐えて、後半に勝負を仕掛ける作戦を立てていた。

 しかし開始早々、神戸弘陵にアクシデントが襲う。前半9分、1トップのFW吉田翔貴(3年)がもも裏を痛めたために、MF徳弘匠(2年)との交代を余儀なくされてしまった。

 だが窮地を救ったのも徳弘だった。前半23分、MF田中祉同(1年)が左サイドから中央にドリブルを仕掛けてシュート。これはDFに阻まれたが、こぼれ球を徳弘が押し込んで、先制点が生まれる。

 前半29分、同34分と放り込まれたボールをクリアできず、アンラッキーな形で失点を重ねて逆転を許したが、「想定内」の1点ビハインドで折り返すことに成功した。

 そして後半は狙い通りに圧力を強めていく。すると後半10分、主将MF沖吉大夢(3年)の出したスルーパスにMF松野隼輝(2年)が反応。エリア手前でDF田近奈生(3年)に倒されてFKを獲得する。この際のプレーが決定機阻止と判定されたために田近はレッドカードで退場。沖吉が風を味方につけた弾丸FKを突き刺し、同点弾を決めた。

 ここまで来れば流れは完全に神戸弘陵のものとなる。そして後半15分、左サイドで切り返して相手を外した田中の狙いすましたシュートがGKの頭上を抜け、ゴール右隅に吸い込まれていった。逆転されても落ち着いて、自分たちのサッカーを信じて戦い続けた神戸弘陵がシーソーゲームを制した。

 今季の神戸弘陵はプリンスリーグ関西を最下位で終戦。ただ負けが込んだのは序盤戦の戦いで、最終第17節、18節は連勝で締めくくった。選手権の兵庫県予選はすべて1点差ゲームを競り勝ってきたもの。準々決勝の同じプリンスリーグを戦った三田学園高に逆転勝ちするなど、内容からもイレブンは自信を回復させていた。

 この日も例えビハインドで折り返していようと、ハーフタイムのロッカールームに焦りはみられなかったという。沖吉主将は「兵庫県予選から逆転勝ちがあったので、自分たちに自信を持っていた。焦りもなかった」と胸を張る。

 ただ2失点したという事実は受け止めないといけない。セレッソ大阪内定で注目を集めるDF田平起也(3年)は「クリーンシートが目標だったので、そこは反省です」と話すと、「しっかりと調整して次の試合に臨みたい」と気合を入れ直した。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2019

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