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[MOM3106]仙台育英GK佐藤文太(3年)_3年連続守護神の“落ち着き”がもたらしたPKストップ!!

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GK佐藤文太(3年)がPK戦で2本ストップ(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 仙台育英1-1(PK3-0)五條 等々力]

 先制されて追いつくも1人が退場に。その後も決定機は作れど逆転できずじまい。最後まで押し込んでも勝ち切れなかった仙台育英高(宮城)と、なんとか守り切った五條高(奈良)。流れとしては仙台育英の方が悪く感じられたはずだ。

 そんな空気を一発で変えたのが仙台育英の守護神・佐藤文太(3年)だ。一人目、相手のキックはゴール中央に。右に飛んでいた佐藤だったが「蹴られた瞬間、ヤバいと思いましたが、右手を地面について“届け!!”と」伸ばした足に当たりセーブ。両チーム最長身、身長185cmの長い足が五條の出鼻をくじいた。

 もっとも本人の頭の中には試合の流れより、県大会で仲間にかけた迷惑をここで返すことしか考えていなかったかもしれない。「県大会決勝で自分がパントキックを味方DFに当ててしまい、そこから先制点を許してしまいました。あの試合はみんなに救ってもらった。だからここで取り返そうと」。

 城福敬監督も「微動だにせずボールに反応する。その姿にすごいなと思いました。1本目も足に当てて止めましたが、GKとしての存在感がある。1、2本は止めるだろうという信頼感が仲間を勇気づけ、相手に圧力をかけている」と信頼を寄せる。

 その圧力がかかったのか、五條2人目のキックは枠外へ。そして3人目。「相手の顔色を見て、ここまで(五條は)2本失敗しているし、そんなに厳しいコースにはこないだろうと。右側に来ると感じて、落ち着いて対応しました」。その通りのコースにボールが飛んできてきっちりセーブ。結局PK方式では1本も成功を許さず勝利を導いた。

 3年連続で選手権出場となる仙台育英で、1年から3年連続で出場している守護神。「前回、前々回は自信をもってプレーできず消極的になっていた。でも今年は自分が引っ張っていく立場になったことで積極的になった」と自身の変化を感じている。チームは過去2大会ともに2回戦敗退。チームも自身も2回戦突破は悲願だ。「3度目の正直」に向け、成長した守護神が後方からチームを引っ張る。

(取材・文 伊藤亮)
●【特設】高校選手権2019

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