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初の選手権挑戦を終えた愛工大名電、宮口監督「自分たちの色は出せた」

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初出場の愛工大名電高は初戦で涙を飲んだ(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権1回戦 愛工大名電0-1筑陽学園 NACK]

 創部51年目で初めて選手権の舞台に立った愛工大名電高(愛知)は0-1で敗れ、大会から姿を消した。総体では全国出場歴があるが、選手権出場はサッカー部の新たな歴史。就任7年目の宮口典久監督は「これが目標や憧れだったところから、今後はしっかりと目指すべき場所になってくると思う」と力を込めた。

 宮口監督は昨夏、選手たちの能力をより引き出すために「日本一のハイプレス」を目標に掲げ、戦術を変えた。「彼らが持っているものが何かを考えた。今の代は素直で走れる」。その戦い方がハマった。勢いに乗って全国への道を切り拓き、冬の檜舞台に向けて準備した。

 選手にハードワークを求める分、ともに闘ってきた。指揮官はタッチライン際に立ち、試合中に腹から声を張り続ける。雨天の試合でもベンチには座らず、雨に濡れながら定位置で指示を出すという“願掛け”も。「座った時にやられることが多かったので、今年はこのスタイルのほうが彼らに合うのかな、という気がしただけです」と笑った。

 全国でも最後まで選手とともにファイトし、0-1で試合終了を告げる笛が鳴ると、小さく拍手を送る姿があった。「らしさは出せたんじゃないかな。彼らは自分たちの色は出せたと思う。勝負は2分の1なので胸を張ってほしい」(宮口監督)。

 福岡県の絶対王者・東福岡高をも抑えた筑陽学園高の堅守に跳ね返された。寄せが速く、強度の高いディフェンスに阻まれ、ゴールはこじ開けられなかった。県予選決勝で全4点に絡んだFW平井碧(3年)は「この悔しさをぶつける場所がないけど……目標に向かうことは学べた」と声を詰まらせながら言葉を紡ぎ、「先生たちは自分たちのたった80分のために人生を賭けてくれた」と感謝した。

 キャプテンを務めるDF鈴木郁人(3年)はうまく試合に入り、チームに落ち着きをもたらした。「鈴木がいないと空中分解する」と宮口監督が絶大の信頼を置く精神的支柱。「最高の舞台だからこそ、いつも通りのプレーを心がけました」と初の大舞台でも冷静沈着に、1対1で的確な対応を続けた。最終ラインは一人抜かれてもすぐにもう一人がカバーし、窮地を凌いだ。

 新たな扉を開いたチームの挑戦は終わり、後輩たちに引き継がれる。この日、GK安原哲平(2年)は強烈なロングフィードを全国の舞台でも披露した。そのキックで何度もスタジアムをざわつかせ、鋭い反応と身体能力を生かしたビッグセーブも見せた。スタメン唯一の2年生に託されたミッションは一つ。「僕が全国に出た経験を生かして2年生をまとめて、この舞台に帰ってこれたら」と一年後の帰還を誓った。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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