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神戸が“新国立こけら落とし”で悲願の初タイトル! 天皇杯制して来季アジア挑戦へ

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神戸は天皇杯優勝でクラブ初のタイトルを獲得した

[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 第99回天皇杯は1月1日、生まれ変わった国立競技場で決勝戦を行い、鹿島アントラーズを2-0で破ったヴィッセル神戸が初優勝を飾った。“鹿島キラー”で“開幕男”のFW藤本憲明が新国立のこけら落としで2点に絡む大仕事。ビッグネームの補強を続けてきた神戸が悲願の初タイトルを獲得し、来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場を決めた。

 ホーム扱いの神戸は大型補強の象徴となっているMFアンドレス・イニエスタ、FWルーカス・ポドルスキを先発起用。これまでJFL、J3、J2、J1全カテゴリの開幕戦でゴールを決めてきた“開幕男”藤本も抜擢した。この日が現役生活ラストマッチとなるFWダビド・ビジャはベンチに控えた。

 一方の鹿島はJリーグ最多記録を更新する主要タイトル21冠目がかかった一戦。この日限りで退任が決まっている大岩剛監督は攻撃の中核を担ってきたFW土居聖真をベンチに回し、右サイドハーフ起用が続いていたFWセルジーニョを2トップの一角で起用した。[スタメン&布陣はコチラ]

 試合は序盤こそ鹿島が押し込む展開が続いたが、3バックを巧みに使って攻撃を組み立てる神戸が次第に主導権を握った。前半13分、DF西大伍の縦パスからFW古橋亨梧が右サイドを駆け上がり、クロスに合わせた藤本のダイレクトシュートは枠外。それでも5分後にスコアを動かした。

 前半18分、左サイドでタメをつくったポドルスキがボールを奪われたが、すぐさまDF酒井高徳が奪い返して攻撃を再開。酒井が縦に切り返したところをポドルスキがキープし、角度のない位置からシュートを狙うと、GKクォン・スンテが弾いたボールが鹿島DFに当たってゴールマウスに吸い込まれた。当初はボールに詰めた藤本のゴールが記録されていたが、後半途中にオウンゴールに訂正された。

 鹿島は前半26分、MF永木亮太のFKからセルジーニョがボレーシュートを狙ったが、強烈なシュートはわずかにクロスバーの上。神戸は28分、果敢な持ち上がりを見せたDF大崎玲央が左サイドにループ気味のパスを送り、酒井の折り返しをポドルスキがダイレクトで叩き込むも、酒井がオフサイドポジションにいたとしてゴールは取り消された。

 それでも神戸は前半38分、右サイドを駆け上がった西がグラウンダーでのアーリークロスを送り込むと鹿島DF犬飼智也がクリアミス。軌道が変わったボールを藤本がワンタッチで流し込んでリードを2点に広げた。藤本は今季J1開幕戦で当時大分の選手として鹿島から2ゴールを奪っており、今夏の神戸移籍後も第33節鹿島戦で1ゴール。これで3戦4発とし、“鹿島キラー”っぷりを見せつけた。

 2点のビハインドを負った鹿島は後半開始時、MF白崎凌兵に代わって土居を投入。システムを3-4-2-1に変更し、今季これまで一度も採用していない奇策に打って出た。そこからロングボールを有効に使って一方的に押し込む流れをつくると、8分には負傷したMF名古新太郎に代わってDF山本脩斗を送り込んだ。

 すると鹿島はさらに勢いを増していき、後半12分には土居と三竿が立て続けに決定的なシュート。一方の神戸はMF山口蛍が決死のブロックを見せたが、なかなか陣形を取り戻せない。もっとも、鹿島も攻撃の最終局面で精度の高いプレーを見せられず、2点ビハインドのまま時間が過ぎていった。

 神戸は後半33分、新国立最初の得点者となった藤本に代わってFW田中順也を投入。36分には酒井のアウトサイドスルーパスにポドルスキが抜け出し、折り返しに田中が合わせたが、シュートはクォン・スンテの正面に飛んだ。後半アディショナルタイムにはビジャも投入。最後は余裕の試合運びを見せた神戸が悲願の初タイトルを獲得した。一方の鹿島は今季無冠に終わった。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

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