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“元日新国立”の主役となった神戸FW藤本「持ってると思います」

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「ノリアキ」を意味する『Nポーズ』を見せるヴィッセル神戸FW藤本憲明

[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 “開幕男”で“鹿島キラー”。ヴィッセル神戸に悲願の初タイトルをもたらしたのは、昨年ブレイクを果たした遅咲きストライカーだった。「持ってます。持ってると思います」。FW藤本憲明は大勢の報道陣に囲まれながら、自らの「ラッキーボーイ」っぷりを誇った。

 舞台装置は十分に整っていた。元日決勝は新国立競技場のこけら落とし。対戦相手は今季2試合3ゴールを挙げてきた鹿島アントラーズ。これまでJFL、J3、J2、J1全カテゴリの開幕戦でゴールを記録してきた“開幕男”が、2020年の幕開けを告げる天皇杯決勝で輝きを放った。

 まずは前半18分、左サイドでボールをかっさらったFWルーカス・ポドルスキが強烈な左足シュートを放つと、GKクォン・スンテが弾いたボールがゴール前の混戦にぶつかり、そのままゴールネットに吸い込まれた。ボールは誰に当たったか微妙だったが、場内にコールされたのは混戦内にいた藤本の名。その時点で、記念すべき新国立第1号ゴールとなった。

 ところが後にこの得点はオウンゴールに訂正され、第1号ゴールは幻に。それでも前半38分、藤本はMF西大伍の右クロスがDF犬飼智也のクリアミスを誘ったのを見逃さず、軌道が変わったボールをワンタッチで押し込んだ。VARチェックこそ入ったが、今度こそ正真正銘のゴール。新国立での初得点は逃したものの、栄えある最初の得点者となった。

 前半のうちに2点をリードした神戸は後半、相手のシステム変更によって一気に劣勢を強いられた。それでも守備陣がしぶとく耐え続け、一度もゴールを許すことなく試合終了の笛。「ゼロで終わってくれたGK含めたDF陣に感謝したい」(藤本)。途中交代していた背番号9は真っ先にピッチ内の仲間たちに駆け寄り、歓喜の輪に加わった。

 大舞台で2点に絡んだ藤本だが、いずれも捉え方次第ではラッキーゴール。自身も試合後の場内インタビューで「ラッキーボーイです!」と高らかに宣言した。しかし、そうしたゴールセンスもストライカーにおいては重要な資質。試合後の囲み取材では「持ってます。持ってると思います。ただああいうところに走り込んだり、そういう場所にいることが重要」と矜恃も見せた。

 近畿大を卒業した2012年に当時JFLの佐川印刷SCで社会人キャリアをスタートし、4年間は社業との兼務生活を続けていた苦労人。そこから2年連続でのJ3得点王に輝いた鹿児島ユナイテッドFC、自身の活躍でJ1昇格に導いた大分トリニータと一歩一歩ステップアップしてきたが、成り上がりの秘訣は「何とかなる精神」と悲壮感はない。

 この日も、人生のターニングポイントを報道陣に問われて「全部です」と即答。「ステップアップしてきたところが全てがターニングポイントで、自分にとって大事なところ。これというところはない。日々自分がレベルアップして、努力してきたことが結果につながった」と自らの苦労話を誇るでもなく、目の前の環境に腐らず向き合い続けてきた姿勢を表現していた。

 何よりそうした真摯な取り組み方こそが、藤本を現在の立場に導いたのであろう。「これからもそういうことを続けて、もっともっと選手としてレベルアップしていきたい」。来季はAFCチャンピオンズリーグで初のアジア挑戦も決定。プロ生活4年目を最高の形で終えた30歳はなおも進化を遂げていく。

(取材・文 竹内達也)
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