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[MOM3116]昌平MF柴圭汰(2年)_「できない訳じゃない」“守備職人”が自信得て、攻撃面でも存在感

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中盤で攻守に存在感を放った昌平高MF柴圭汰

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権2回戦 昌平高 2-0 興國高 浦和駒場]

 注目カードとなった興國高(大阪)との初戦。昌平高(埼玉)はともに身長160cm台と小柄なMF柴圭汰(2年)とMF小川優介(2年)のダブルボランチのプレーが光った。藤島崇之監督も「予測と反応という部分でいうと、彼らはチームの中心として良い仕事をしてくれているので、そういう意味では今日はそこがもうひとつ大きな勝因だったと思います」とコメント。そして、指揮官は迷った末に柴をマン・オブ・ザ・マッチに指名した。

 守備能力が高く、名字から文字って“芝刈り機“の異名を持つ柴は、登録162cm、55kgと登録メンバーで最も小柄。だが、「相手が上手いし、デカくなるほど自分が『ボールを奪ってやろう』という気持ちが増すので、凄くそういった選手とやるのは楽しみです」という柴は、この日も相手の懐に潜り込んでボールを奪うなど貢献していた。

 身体能力の高い選手ではないが、読みの速さと献身性は一級品。この日は対戦相手に世代屈指のドリブラー、FW樺山諒乃介(2年)がいたことも闘志を燃やす要因になっていたようだ。

「(樺山は)本当に日本の高校生でも凄い上手いレベルだと思うので、自分がどれだけできるのか凄く楽しみにしていた」。興國は樺山をはじめ、攻撃タレントが多数。その中で柴は自分一人で奪い取れなくても、ポジショニング良く相手の攻撃を遅らせ、味方とともにボールを奪い取っていた。

 加えて、印象的だったのが、攻撃面での進化だ。埼玉県予選時に比べて明らかにボールを触り、ドリブルする回数が増えている。これまでならばあっさりと味方にパスしていたような状況でもボールを離さずに相手DFを剥がしに行っていたほか、正確なサイドチェンジを1本、2本とサイドにつけるなど、攻撃時でもゲームメーカーの小川と変わらぬ存在感を見せていた。

 藤島監督は「自信持っちゃったみたいで(微笑)。(選手は)『あれ、やれるな』と思った時にチャレンジしだすので、逆に今までチャレンジしないでビクビクしながらやっていたのが『あれ、行けるな』と思い切ってやっていましたね」と分析する。

 その言葉通り、本人は攻撃面での自信を持ち始めているのだという。「自分はあまりみんなと比べて上手くないと思っているんですけれども、そんなに『できない訳じゃない』と思ったので、ある程度自分のところでもタメを作れるようになってきていますし、攻撃に少しネガティブなところも持っていたんですけれども、今はネガティブな部分もなくなってきたので、もっと攻撃に磨きをかけていきたいです」。相手をいなしてキープすることなどあまり見せなかったMFが今、これまで以上に攻撃面でも堂々とプレーしている。

 本人は試合を重ねるごとに自身の成長を実感している模様。それだけに、「もっと成長するために勝って一戦一戦戦っていきたい」。“守備職人”から攻守の中心に姿を変えつつある小柄なボランチは、次戦も勝利に貢献して、また進化を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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