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[MOM3127]鵬学園GK前原瑞穂(3年)_京都橘相手に「神がかった」守護神、スランプだったPKも連続ストップ!!

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PKを連続で2本止めたGK前原瑞穂(3年)がMOM(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権2回戦 鵬学園高1-1 PK4-3京都橘高 オリプリ]

 インハイ4強・京都橘撃破の立役者だ。PK2本を阻止したGK前原瑞穂(3年)が鵬学園高(石川)に全国初勝利をもたらした。前半からダイナミックなファインセーブを続け、前半19分、前半34分にFW梅村脩斗(3年)の決定的なシュートを弾き出した。「勝てる雰囲気しか感じなかった」と仲間を信じ、劇的な同点劇からPK戦を迎えた。

 集中力は研ぎ澄まされていた。相手の助走を見極めた前原は先行・京都橘のキッカー1人目を完全に読み切り、左に横っ飛びしてかき出した。続く2人目のキックも読みが当たり、今度は逆方向に飛んで阻止し、2人連続のストップ。PK4-3で競り勝ち、鵬学園を3回戦に導いた。

 小・中学生まで得意だったというPK戦は、高校に入ってからストップ率が低下。県予選のPK戦では後輩の“PK専門GK”に交代する試合もあったという。しかし、そんなスランプを感じさせない大一番での華々しいパフォーマンス。全国を意識して積み上げてきた努力が実り、勝負強さを発揮した。

 この試合は序盤から当たっていただけに、「迷いなく送り出した。PKもいけるなと思いました」と赤地信彦。その期待に応えるように、2本をストップした前原を「神がかってましたね。今日のゲームは神がかっていた。あんなにPKを止めたのを初めて見ました」と手放しで称えた。

 殊勲の守護神は栃木県の出身。「中学の終わりくらいに、県外で自分が成長して高校サッカーの全国大会に出て活躍するという目標を立てた。自分たちが歴史を変えようと思って来ました」。星稜高を倒す目標を掲げ、縁があった鵬学園に進学。名門撃破を成し遂げて全国への道を切り拓くと、今度は歴史を塗り替える選手権初勝利を挙げた。

「栃木から石川にきて、親にも迷惑をかけてきた。絶対に全国大会に出て、親に恩返しをすると決めていた。その中で強い相手に勝って勝ち進めたのは嬉しいです」。千葉県のゼットエーオリプリスタジアムに駆けつけた両親に見守られる中、ヒーローになった。

 次戦の相手は奇しくも矢板中央高(栃木)に決まった。もちろん、栃木を出た時から意識してきた相手だ。「今日みたいなプレーをして、失点しないことが目標。PKになったらしっかり止めて勝ち上がりたい」。描いた未来を現実に変えた強心臓の守護神は、続くチャレンジに向けて闘志を燃やした。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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