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「全国で勝つことが宿命」伊室新監督の下で“復活”四日市中央工高が逆転勝ちで2回戦突破

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2戦連発MF森夢真が決勝点を決めた(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 高校選手権2回戦 松本国際1-2四日市中央工 フクアリ]

 第98回全国高校サッカー選手権大会の2回戦が2日に行われ、フクダ電子アリーナの第2試合では四日市中央工高(三重)が松本国際高(長野)に2-1で逆転勝ちした。3日の3回戦では日章学園高(宮崎)と対戦する。

「本来の四中工の姿を必ずお見せしたいと思います!」。試合を終えた伊室陽介監督は興奮ぎみに場内インタビューを終えた。

 本来の四中工の姿。過去優勝1回、準優勝3回を誇る名門だが、近年は建て替え前の最後の国立開催となった13年度の4強以来、出れば初戦敗退、出場すら叶わない年が続いた。

 そんな“四中工再建”を託されて今季より監督に就任したのが伊室監督だ。伊室監督は帝京高と同校優勝だった91年度大会メンバーの一員。小倉隆史氏、中西永輔氏、中田一三氏、のいわゆる“四中工三羽烏”と同期だ。

 昨年は地元開催だったインターハイの出場を逃す屈辱。冬の選手権では秋田商に県勢14年ぶり勝利を献上した。かつての栄光を知る指揮官はそんなチームの立て直しを託された。

 すると今季はインターハイに4年ぶりに出場。三重県リーグを制して進出したプリンスリーグ東海参入戦では、3年ぶりの復帰を勝ち取った。「全国に出て満足するようなチームではない。常に勝ち続けないといけない」。伝統エースナンバー17番を背負うFW田口裕也(3年)がチームの思いを代弁する。

 新生・四中工、復活の四中工をアピールするためにもここで敗れるわけにはいかなかった。前半20分にFW小林丈太郎(3年)に許した失点によって前半を1点ビハインドで折り返すが、後半2分にMF宮木優一(2年)のロングパスで裏に抜けた田口がGKとの1対1を制して同点に追いつく。さらに同26分には10番MF森夢真(3年)が鮮やかなミドルシュートを蹴り込み、試合をひっくり返した。

 何よりも感じさせるのは自信。ここ数年の四中工にはなかったものだ。田口も「0-1ならまだやれるなと思ったし、試合中も負けることは全く考えなかった」と自信を持ってプレーしていたことを明かす。「いろいろ弱体化とか、古豪とか言われるけど、僕たちの代で止めたい。全国大会の舞台で勝つことは四中工の宿命だと思うし、ここまで築いてくれた伝統を守らないといけないと思っています」。

 勢いに乗れば強い。「有り難いことに、勝てば勝つほどに風が吹いてくる」。伊室監督が感じる「伝統校の武器」を誇りにしながら、完全復活へと向かう。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2019

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