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[MOM3137]静岡学園MF浅倉廉(3年)_川崎FではU-18昇格ならず。“先輩”大島の背中追って技あり先制弾

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静岡学園高MF浅倉廉(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 静岡学園高2-0今治東中等教育学校 駒沢]

 高く上がった浮き球をピタリと止め、GKのいないコースにふんわりシュート。偉大な先輩を彷彿とさせるようなテクニックで先制点を奪った。静岡学園高MF浅倉廉(3年)は「周りのチームメートが活躍していたので自分も活躍したいという思いがあって、今日はやってやろうという思いがあった」と笑顔を見せた。

 前半4分、電光石火の一撃だった。右サイドを攻略したMF井堀二昭(3年)がクロスボールを送ると、相手のクリアがペナルティエリア際に立っていた浅倉のもとへ。「(相手が寄せてくるまで)時間がなかったので、トラップしてすぐシュートというイメージ」。これまで積み上げてきた技術を信じ、想像どおりの軌道でゴールネットを揺らした。

 静岡学園は今大会の1、2回戦で合計9得点を記録。ボランチの井堀と左サイドのMF小山尚紀(3年)が3ゴール、FW岩本悠輝(3年)が2ゴールを挙げている中、トップ下の浅倉はこれが大会初ゴールだった。「自分がゴール取れていなくて、不安というか自信がなかったので、今日取れたことによって自信になった」。気持ちを楽にさせるゴールとなった。

 そこからは「静学らしいサッカーをしたい」と持ち味のドリブルでも存在感を見せられるようになり、今治東のコンパクトな守備ブロックのギャップに何度も潜り込んだ。「サイドはストロングだけど、中央からも行けるという怖さをもっと見せつけたいという思いがある」。世間の注目はMF松村優太(3年/鹿島内定)と小山に集まるが、中央の要所を担う意地もあった。

 そんな浅倉は県外からの越境入学組。小中学校時代は川崎フロンターレの育成組織で過ごすも、U-18に昇格できなかった過去を持つ。そこで影響を与えたのはトップチームの10番を背負うMF大島僚太の存在だ。「上がれなくて悔しさもあった。大島選手が静学出身だって知っていたので、静学に入って大島選手みたいになりたいと思った」と振り返る。

 この日のゴールシーンも大島からの学びが盛り込まれていた。巧みなトラップは「決まると散らしやすくなったり、次のプレーをしやすくなる。大島さんはトラップめっちゃ止まるので目標にしている」という。また冷静な中距離シュートも「大島選手も結構ミドルを決める。中盤の選手はミドルシュートを決められると価値が上がるので意識している」と憧れの眼差しを向ける。

「上がれなかったぶん、成長してまた戻りたい思いはある」。そう語る18歳の進学先は拓殖大。川崎F関係ではFW小林悠の母校だが、そのことを問うと「少しは考えました」と照れ笑いも浮かんだ。「Jリーグで一番好きなのはフロンターレだし、どういうサッカーをやりたいかもわかっているつもり」。選手権での活躍は帰還への足がかりとする構えだ。

 そのためにはまず、静岡学園から大学サッカー経由で川崎F入りしたFW旗手怜央(順天堂大)らを擁した前回出場時の8強超えに挑戦する。「相手が強くなればなるほど燃える。注目度も上がってくるので、注目される選手になりたい」と野望を滾らせた18歳は「輩たちは8強で負けてきたので、今年は絶対に4強まで行くことが目標」と準々決勝に気持ちを向けた。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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