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清水監督退任の國學院久我山は3回戦敗退…「昌平が強かった。完敗です」

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落胆する久我山イレブン(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.3 高校選手権3回戦 國學院久我山高 0-1 昌平高 駒場]

 後半アディショナルタイム2分、相手の放ったシュートは何度も救ってくれていたはずのクロスバーを叩いた。しかしボールが落ちた先は無情にもゴールラインを越えていた。ほどなくして試合終了後ホイッスルが鳴る。耐えに耐えていた國學院久我山高だったが、最後の最後で力尽きた。

 試合を終えた清水恭孝監督は、目を赤らめながら取材エリアに現れた。「昌平が強かった。完敗です」。気丈に話そうとする姿が、より無念さをにじませた。

「清水さんを最後に胴上げしたい」。今大会を迎えるにあたって、久我山イレブンは気持ちを一つにして戦おうと決めていた。

 今季限りでの退任を選手たちに明かしたのは、昨年11月16日の東京都予選決勝の日。選手らに動揺がなかったわけではないが、「最後だから勝たせてあげよう」と選手同士で話し合って気持ちを高めあってきた。

 今年のチームは「4年前のチームよりも手ごたえを感じていた」(清水監督)という。4年前とはMF名倉巧(長崎)らを擁して前回選手権に出場した世代。準優勝した世代よりも自信を持って今大会に臨んでいたというわけだ。そして実際に開幕戦では前原高(沖縄)に8-0と、記録ずくめの圧勝。勢いづくかとも思われた。

 しかし2回戦は専修大北上高(岩手)をPK戦で下したものの、3回戦では昌平高に0-1で敗戦。内容的にはスコア以上の完敗で、初戦の8得点がウソのように、2試合無得点と攻撃陣が沈黙して戦いを終えることになった。

 久我山での最後の指揮を終えた清水監督は、試合後のロッカールームで選手たちには「この舞台でできたこと、最後の1年間は楽しかった」という言葉がかけられたという。

 ただ前日の試合でDF加納直樹(3年)が退場したことにより、この日は最終ラインでの先発になっていたMF福井寿俊(3年)は「その言葉が聞けたからこそ、尚更悔しくなった」と話す。その他、多くのイレブンが口々に「恩返しがしたかった」と悔やんでいた。

 だが福井が早稲田大に進学してサッカーを続けていく予定でいるように、多くの選手に次のステージが待っている。そこで活躍することこそが“恩返し”になる。福井が「大学からプロを目指したい」と力強く話したように、イレブンはこの悔しさを必ず糧にしてくれるはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2019

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